2021年の新車登録はスズキが6年連続で首位

(ハンガリー)

ブダペスト発

2022年03月07日

ハンガリーの民間調査会社データハウスによると、2021年のハンガリーの新車販売は、市場の予想に反して縮小した。新車登録台数は12万1,920台で、2020年(12万8,030台)よりも4.8%少なく、また「新型コロナ禍」前の2019年と比べると22.8%の減少となっている。一方、中古車登録台数は1.4%増の13万2,205台だった(添付資料図参照)。

新車販売が落ち込んだ背景には、世界的な半導体不足と「新型コロナ禍」によるサプライチェーンの混乱により生産が抑制されたことに加え、通貨安による自動車部品価格の上昇も重なったことがあり、供給量の不足と新車価格の上昇(注)が需要を中古車市場に向かわせたようだと、ハンガリー自動車輸入協会(MGE)は分析している。

メーカー別でみると(添付資料表参照)、スズキの新車登録台数は1万7,650台(前年比19.4%増、シェア14.5%)と、6年連続で首位を維持している。スズキブランドで最も人気のあったモデルは、ハンガリー北部のエステルゴム工場(2020年1月27日記事参照)で生産される「ビターラ」(8,350台)と「SX4 S-CROSS」(6,261台)だ。

またスズキは、EU市場ではハイブリッド車のみを販売しているが(2020年1月に販売を開始)その人気について、「ハイブリッドバッテリーに適用される保証や全国的なディーラーサービス網、安定したブランド品質が理由」としている(販売会社のマジャール・スズキ)。さらに同社は、2022年にはエステルゴム工場で生産するハイブリッド車の車種を拡大する予定だ。

2位も日本のトヨタで、登録台数は1万2,077台(前年比4.7%減、シェア9.9%)。「カローラ」が3,437台と最も登録台数の多いモデルだったほか、「ヤリス」も人気があり、ハイブリッド車とスポーツ用多目的車(SUV)も含めて2,210台が登録された。3位はフォードで、9.7%減の1万604台となった。

ハンガリーの電気自動車の市場は、政府の購入支援にも支えられて大きく拡大し(2021年8月26日付地域・分析レポート参照)、2021年はバッテリー式電気自動車の登録が4,312台(前年比41.6%増)、プラグインハイブリッド車が4,238台(41.4%増)、ハイブリッド車とマイルドハイブリッド車が4万5,024台(50.8%増)。これらの合計は5万3,574台で、新車登録台数のうち43.9%を占めた。

バッテリー式電気自動車のモデル別では、起亜の「e-ニロ(e-Niro)」の登録台数が前年に引き続き最多となった。なお、起亜のハンガリーにおける乗用車登録台数は、前年比45.0%増だった。

ハンガリー自動車輸入協会(MGE)は、2022年1月18日に発表した見通しで、半導体チップなどの部品供給が2022年後半までに正常化し、新型コロナ禍によるさらなるサプライヤチェーンの停滞がないとの前提で、自動車登録台数を12万5,000台(前年比2.5%増)とし、ハイブリッド車とマイルドハイブリッド車のシェアは51%とこれまでで最大になると予測している。

(注)例えば、スズキ・ビターラ(GL+)の価格は、649万フォリント(約221万円、1フォリント=約0.34円)となっており、1年間で約10%上昇している(2022年1月、現地ディーラーから聞き取り)。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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