次世代ネットワークのオンラインイベントをジェトロが共催

(英国)

ロンドン発

2022年03月11日

ジェトロは2月24日、セット・スクエアード・パートナーシップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(SETsquared、注1)と、「次世代ネットワーク(Beyond 5G)」と題する、次世代通信分野における日英企業連携の促進を目的としたオンラインピッチイベントを共催した。

基調講演では、KDDIヨーロッパのIoT(モノのインターネット)技術・製品開発・ビジネス開発ダイレクターのデイビッド・ライダー氏が、同社の5G(第5世代移動通信システム)、オープンイノベーションにおける取り組みを紹介した。

英国スタートアップ企業のピッチでは、以下の企業が登壇し、新たなビジネスモデル、ストリーミング技術など最新の取り組みについて説明した。

  • 溶接・研削・機械操作などの手作業を機械学習により理解し、製造・建築現場などの職場の安全・生産性向上などに役立つ、ヘルメットなどに装着可能なIoTデバイス「セーフガード」を開発する「マフィック(Mafic外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」
  • 複数台のカメラで撮影された映像を、スマートフォンなどの端末の画面をスワイプする(指で触れ上下左右に滑らせる)ことで自由に視点を切り替えながら視聴する技術「スワイプビデオ(SwipeVideo)」を開発する「アマテルス(Amatelus外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」
  • 車両、クラウド、ITインフラ、モバイルアプリをつなぐCVaaS(注2)プラットフォームを開発する「ビームコネクティビティ(Beam Connectivity外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) 」
  • 通信路符号化技術(注3)を開発する「アクセラコム(Accelercomm外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」
  • 次世代通信用アンテナ技術の開発の「ノボコムズ(Novocomms外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」

投資トレンドに関するパネルでは、5Gの将来や今後どのような投資が行われるかについて議論した。グローバル・ブレイン(Global Brain)の小尾理奈インベストメントダイレクターは、クラウド・コンピューティング(注4)やサプライチェーンと生産の最適化などに投資機会があることを紹介。また、大きな成長がみられるIoT、スマートデバイス、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のほか、メタバース(仮想現実空間)も非常に重要な役割を果たすことになると紹介した。

イノベーションのトレンドに関するパネルでは、SETsquaredのスケールアッププログラム代表であるスティーブン・マイヤース氏が「英国政府が同国の(通信)インフラを開放しようとしており、この分野のベンダー(供給元)が多様化していることが機会となる」とした。ネットワーク向けのテストなどを提供するスピレント(Spirent)のアダム・プライス副社長は「ここ1年、宇宙で帯域(注5)を取得できるよう、大手通信会社やモバイルネットワーク運用者は低軌道衛星産業に注目している」と話した。

最後に、ジェトロ・ロンドン事務所の崎重雅英次長が、英国と日本の新技術の可能性を最大限に生かし、協力して促進していきたいと話した。

(注1)英国の有力6大学の技術移転やスピンアウト企業支援を行うインキュベーターネットワーク。

(注2)Connected Vehicle as a Serviceの略。サービスとしてのコネクテッドカー[ICT(情報通信技術)端末としての機能を持つ自動車]。

(注3)雑音などによる受信時の誤りを小さくする技術。

(注4)インターネットなどの通信ネットワークを経由して、コンピューティング・サービス(サーバー、ストレージ、データベース、ネットワークなど)を遠隔から利用すること。

(注5)通信などに使用する周波数の範囲。

(島村英莉)

(英国)

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