スペースXがフィリピンへ進出、衛星通信サービスを展開へ

(フィリピン、米国)

マニラ発

2022年04月13日

フィリピン貿易産業省(DTI)は3月31日、イーロン・マスク氏が率いる航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)がフィリピンにおいて単独資本での法人設立を進めていることを明らかにした。DTIの発表によると、スペースXは同社の衛星通信サービス「スターリンク」(注)をフィリピンで展開する。ラモン・ロペス貿易産業相は、同社のサービスがフィリピンに導入されることで、フィリピンの通信環境が改善し、オンライン教育やEコマース、フィンテックの利用が促進されるとともに、中小企業にも便益をもたらすとコメントした。

スペースXが東南アジアで「スターリンク」を展開するのは、今回のフィリピンが初めてとなる(政府通信社2022年3月31日)。DTIは発表の中で、「スペースXがフィリピンへの投資を判断するにあたり、ドゥテルテ大統領が3月21日、公共サービス法の改正法案(2022年3月25日記事参照)に署名したことが決定的な要因となった」と明らかにしている。公共サービス法の改正法案が成立することで、外資企業は通信分野の企業に対して100%の投資が可能となった。

ロペス貿易産業相によると、スペースXは、ドゥテルテ政権の任期期間内(2022年6月末まで)にフィリピンでのオペレーションを正式に開始する見込みという。

(注)スターリンクでは、通常の通信衛星よりも低い軌道を飛行する1,600個以上の人工衛星を駆使することで、遠隔地においてより高速かつ大容量の通信が可能になる。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン、米国)

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