ペルー首相府、国内抗議活動への取り締まり強化の緊急事態宣言を発令

(ペルー)

リマ発

2022年04月12日

ペルー首相府(PCM)は4月7日、運送業界による国内各地での違法な抗議活動に端を発した問題(2022年4月7日記事参照)について、4月8日から30日間、国内の国道網における取り締まりの強化を目的とした緊急事態宣言を発令する大統領令第035-2022-PCM号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。同大統領令によると、期間中は全国の国道における治安維持活動のために、国家警察(PNP)および軍部(FFAA)に対して取り締まりを行う際に必要に応じて武力行使の権限も与えている。また、憲法によって保障されている「交通の自由」「集会の自由」「個人の自由と安全」を停止するとしている。

「エル・ペルアーノ」紙は4月8日、一部暴徒化した市民による抗議活動により、国内における国有また民間所有施設に対する暴力行為が行われたほか、多数の負傷者と5人の死者が発生したと報じた。非正規の運送業者による抗議活動が暴力に発展した地域は、主に東部内陸のフニン、ウアヌコと南部沿海のイカの3州。特にPNP所属警察15人がデモ隊との衝突で負傷したイカ州では、内務省(MININTER)がPNPを通じて203人の特殊作戦部隊(DIROES)を派遣するなど、事態の沈静化を図っている。

一方、運輸通信省(MTC)は4月7日に、リマ市および隣接するカジャオ憲法特別県を除く地域の違法営業タクシー(白タク)の組合との協議において、先にMTCが同違法営業タクシーのフォーマル化(注)を目的として発令した大統領令第003-2022-MTC号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに従うことで合意し、これにより同組合はストライキの決行をしないことを約束している。

(注)「違法営業車両サービスの規則に関する臨時措置」として4年間の期限(その後最長3年延長可能)を設けた特例措置。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 d97033d035eda8ad