米ウェストバージニア州の予備選挙、トランプ前大統領支持候補が共和党候補に

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月12日

米国ウェストバージニア州で5月10日、同州の連邦下院議員、州議会の上下院議員などの候補者を選ぶ予備選挙が行われたPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。 2022年は11月8日に中間選挙がある選挙年となっており、3月1日のテキサス州を皮切りに、全米各州で民主党、共和党の代表を決する本選に向けた予備選挙が行われている(2022年3月2日記事参照)。中間選挙では、連邦上院(議員の任期は6年)100議席のうち3分の1(34議席)、下院(任期2年)435議席の全てが改選されるが、同州では、連邦上院議員のジョー・マンチン氏(民主党)、シェリー・ムーア・カピト氏(共和党)は改選年に当たらないため、下院議員のみの改選となる。

共和党予備選では、第1選挙区で現職のキャロル・ミラー議員が得票率66.4%で勝利した。第2選挙区ではドナルド・トランプ前大統領が支持する現職議員のアレックス・ムーニー氏が得票率54.2%で、ジム・ジャスティス州知事(共和党)とマンチン氏が支持する現職議員のデビッド・マッキンリー氏を破った。2020年の国勢調査結果を踏まえて各州の連邦下院議員の議席数が変更され、同州では現在の3議席から2議席に減少する(注1)。そのため、今回の予備選では、上述した現職の2議員が同じ第2選挙区の1議席をめぐって争うかたちとなり、トランプ前大統領の影響力を占う試金石として注目を集めていた。今回敗れたマッキンリー議員は、バイデン政権によるインフラ投資雇用法の成立に票を投じた共和党議員13人のうちの1人。また、2021年1月6日に発生したトランプ氏支持者による米連邦議会議事堂襲撃に関する独立調査委員会の設立にも賛成したことなどから、ムーニー氏からは「名前だけの共和党員」と揶揄(やゆ)されていた。

民主党の予備選では、第1選挙区のバージニア工科大学大学院研究助手のユージン(レイシー)・ワトソン氏、第2選挙区から教員のバリー・ウェンデル氏が中間選挙に進むこととなった。

同州選出の連邦下院議員は2014年以降、全議席を共和党が占めており、大統領選挙の選挙人投票でも2000年以降、共和党が民主党を連続して上回っている。また、石炭生産量で全米2位(2020年)の同州では、同産業保護の姿勢を示すトランプ前大統領に対する支持率が高く、2016年、2020年の大統領選挙では、全ての郡(注2)で、トランプ候補(当時)支持がヒラリー・クリントン候補(当時)、ジョー・バイデン候補(同)支持を上回る結果となった。11月の中間選挙に関し、クック・ポリティカルレポートなど選挙関連の分析機関は、共和党議員が2議席を獲得することはほぼ確実だとみている。

(注1)米国勢調査局によると、同州の人口は2010年から2020年の10年間で3.2%減少した。

(注2)州内の行政区画で、複数の市町村が含まれる。票は郡ごとに集計される。

(大原典子)

(米国)

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