米ASEAN首脳、包括的戦略パートナーシップ立ち上げに向けた共同声明発表

(米国、ASEAN)

ニューヨーク発

2022年05月17日

米国とASEANは5月12~13日に米国の首都ワシントンで開催した米国・ASEAN特別サミットの成果として、共同のビジョンに関する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

今回のサミットは、ジョー・バイデン米大統領が呼びかけたもので、ASEANに対する米国側のコミットメントを再確認することが目的だった。バイデン大統領はサミットの中で外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「われわれは45周年に当たるASEAN・米国間のパートナーシップと友好関係を祝うだけでなく、米国・ASEAN関係の新たな時代を立ち上げていく」と述べ、意気込みを見せた。

共同声明では、それを実現すべく、2022年11月に予定している第10回ASEAN・米国サミットで「ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップ」を立ち上げるとした。同パートナーシップは次の柱からなる。(1)新型コロナウイルスのパンデミックとの闘い、より良い公衆衛生における安全保障の構築と回復での協力、(2)経済関係と連結性の強化、(3)海洋での協力促進、(4)人的連結性の強化、(5)サブリージョンの開発支援、(6)技術の底上げとイノベーションの促進、(7)気候変動への対応、(8)平和の維持と信頼の構築。

サミット開催前には、上記(2)に関して、バイデン政権が近く正式な立ち上げ発表を予定している「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に係る何らか発表が行われるのではないかと注目されていた(2022年4月19日記事参照)。今回の共同声明にIPEFに関する言及はないが、低炭素で気候変動に対して強靭(きょうじん)なインフラ整備の協力、医療製品や食糧・ハイテク製品など重要製品における貿易投資の促進と強靭なグローバルサプライチェーンの円滑化など、IPEFが扱う分野と重なる点のコミットメントに触れている。また、バイデン政権はサミット初日、ASEAN地域の海洋問題やクリーンエネルギー関連のインフラ整備に対する資金拠出計画を発表した(2022年5月17日記事参照)。

さらに、バイデン大統領はこの機会を捉えて、空席となっていたASEAN駐在大使として、国家安全保障会議(NSC)で大統領副補佐官を務めるヨハンネス・エイブラハム氏を指名し、同地域へのコミットメントを強調した。

(磯部真一) 

(米国、ASEAN)

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