日本政府が主導し農業機械化を促進するAFICAT、初回セミナーを開催

(ナイジェリア)

ラゴス発

2022年06月14日

日本政府が主導する日・アフリカ農業イノベーションセンター(AFICAT)は、6月1日から2日まで、ナイジェリア・ナサラワ州ラフィアで小規模農家向け初回セミナーを開催した。ナイジェリア側からは、ナサラワ州農業開発局(ADP)、連邦農業農村開発省(FMARD)、国立農業機械化センター(NCAM)、ナサラワ州農業省、同州の5農家グループ(各グループ3人ずつ、計15人)が参加した。

2019年の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)にて、日・アフリカの官民連携により農業生産性や農産品の品質向上に貢献するため、アフリカビジネス協議会農業ワーキンググループがサブサハラ・アフリカ各国にAFICATを設置する構想を発表した。対象国での先進的な技術の導入や農業機械化を推進するため、本邦企業のアフリカ進出を支援し、農業資機材の展示・実証や人材育成・イノベーションの拠点となることを目指す。2022年2月から2024年2月までの2年間は、国際協力機構(JICA)のパイロット事業としてナイジェリアを含むサブサハラ・アフリカ5カ国で稼働する。

初回セミナーでは本田技研工業の小型耕うん機と動力噴霧器(ふんむき)の使用方法とメンテナンス方法に関して、セミナーと実機でのデモンストレーションを通じて小規模農家に紹介した。ナサラワ州農業省のヌフ・イブラヒム・オシャフ長官は、開会挨拶にて、日本政府が同州を支援することに謝辞を述べ、農家はこれまで大型の農業機械を使用してきたが、本田技研工業の製品は小型で、農家にとってより便利であることを強調した。廉価で燃費が良く、小回りの利く製品を体験した農家の方からは「労働時間短縮に役立つ」「操作は簡単だが、機械の取り扱いに関してさらなるトレーニングが必要」といった感想が寄せられた。農家からはメンテナンスに関する質問も寄せられ、同社は製品の耐久性と、国内に多数存在する同社代理店から部品調達が可能なことをアピールし、定期メンテナンスの重要性を強調した。

写真 ADP局長のあいさつ(ジェトロ撮影)

ADP局長のあいさつ(ジェトロ撮影)

写真 本田技研工業によるセミナー(ジェトロ撮影)

本田技研工業によるセミナー(ジェトロ撮影)

写真 実機デモンストレーションの様子。女性も複数参加した(ジェトロ撮影)

実機デモンストレーションの様子。女性も複数参加した(ジェトロ撮影)

ナイジェリアのGDPに占める農林水産業の割合は約25パーセントと高く、農林水産業に従事する労働者は就業人口の約7割であり、1人あたりの耕地面積は0.18ヘクタールと小規模農家が多い。ナイジェリアへの農業機械の輸入許可証は国家環境基準規制実施機関(NESREA)が発行する。ナイジェリア関税局(NCS)によると、農業機械の輸入にかかる税率は以下のとおり。

  • 農業機械の輸入関税:5%、付加価値税:7.5%
  • 組立用の完全ノックダウン(CKD)またはセミノックダウン(SKD)の農業機械の輸入関税:0%、付加価値税:0%
  • 中古の農業トラクターの輸入関税:35%、付加価値税:7.5%

(馬場安里紗)

(ナイジェリア)

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