コートジボワールで砂漠化対処条約第15回締約国会議が開催

(コートジボワール)

アビジャン発

2022年06月06日

国連砂漠化対処条約(UNCCD)(注1)の第15回締約国会議(COP15)が5月9日から20日まで、コートジボワールのアビジャンで開催された。COP15は「土地、生命、遺産:不安定から繁栄した世界へ」をテーマに掲げ、現在世代と未来のための土地の持続可能性に焦点が当てられる。今回は、締約国196カ国と欧州連合(EU)から7,000人以上が一堂に会し、砂漠化の進行、森林破壊、耕作用土壌の疲弊や汚染を防止する対策等について議論された。複合的な危機への取り組みにおける土地の役割に重点が置かれ、土地所有権、移民、ジェンダーなどテーマ別政策枠組に対処するために38の決議が採択された。

コートジボワールのアラサン・ワタラ大統領は、砂漠化問題に関わる国々の元首や政府首脳、国際機関代表などが出席した首脳会合で、「土壌劣化の影響が52%の農地に及んでおり、農業で直接的に生計を立てる26億の人々の生活を脅かしている。砂漠化の進行と干ばつにより、世界中で毎年1,200万ヘクタール、毎分23ヘクタールの土地が消滅している。土地の荒廃は貧困層の74%に直接的に影響を及ぼしている」とし、一刻も早い行動を呼びかけた。また、気候現象が大地に与える深刻な影響を前に、パリ協定の重要な決定の実施を加速させることが不可欠であると述べ、先進国に対し、温室効果ガスの排出をさらに削減し、途上国が気候変動への適応とエネルギー転換を成功させるために年間1,000億ドルを動員するという約束を果たすよう求めた。

主な決議は以下のとおり。

  • ワタラ大統領が提唱したアビジャン・イニシアチブと呼称される「アビジャン・レガシー・プログラム」の実施に25億ドルを拠出し、森林破壊と気候変動に取り組みながら、サプライチェーンの将来性を確保することを支援する。
  • データ収集とモニタリングを改善し、土地回復のコミットメント達成の進捗を把握することで、2030年までに10億ヘクタールの劣化した土地の回復を加速させる。
  • 各国が干ばつによる壊滅的な影響に対処し、強靭性の構築に向けて新たな政治的・財政的推進策を実行する。
  • アフリカ主導の「緑の壁」(注2)を支援する地域イニシアチブを発足させる。
  • 砂漠化、土地劣化、干ばつの影響に対する効果的な土地回復のための重要な担い手として、女性の土地管理への関与を促進する。

(注1)深刻な干ばつ、または砂漠化に直面する国(特にアフリカ)において砂漠化に対処するための国際連合条約。

(注2)アフリカ西海岸のセネガルから東海岸のジブチまでの約8,000キロメートルを植林帯としてつなぐことで砂漠化を防ぐという計画。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール)

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