経済制裁により食品メーカーが包装材の問題に直面

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年06月20日

ロシア国内の食品メーカーが包装材の問題に直面している。外国製塗料の不足を理由に、複数の果汁飲料メーカーがこれまでのカラフルなパッケージデザインを、白をベースにしたものに変更し始めた。

写真 白いパッケージの商品が店頭に並び始めた(ジェトロ撮影)

白いパッケージの商品が店頭に並び始めた(ジェトロ撮影)

背景にあるのが、EUなどによる対ロシア経済制裁だ。直近の例では、モスクワ郊外に東欧最大の食品包装材工場を持つテトラパック(拠点:スイス、スウェーデン)がスウェーデン当局に対し、ロシア工場向けに包装資材の輸出継続を認めるよう要請したが、却下された(「ダゲンス・ニュヘテル」紙6月9日)。情報誌「アグロ・インベスター」(2月28日)によると、ロシアは食品包装の3割以上を外国製に依存している。

こうした状況を受け、政府は輸入や外国メーカーに頼らず、包装材を国産品で代替することを目指している。ビクトリア・アブラムチェンコ副首相はメディアのインタビューで「地場の紙パルプメーカーと乳製品メーカーが手を組んで実証実験を既に始めている」と述べている(「RBK」6月15日)。また、飲料メーカーの中には、紙製パッケージからペットボトルに移行しようとする動きもある(「RTVI」5月23日)。

各種報道によると、パッケージが白くなっていることについて、消費者からは「(飲料に)着色料を使っていない」という売り文句が今後は「(パッケージに)塗料を使っていない」というもう1つの意味も持つようになるとやゆする声や、塗料代がカットされたのになぜ販売価格がそのままなのかといった疑問の声も上がるが、全体的に大きな混乱はみられない。メーカー側も「デザインをシンプルにしたことで、商品の供給が停止に追い込まれることを回避できた」「飲料の品質への影響はなく、偽物ではないので、安心して購入してほしい」と呼び掛けている。

【欧州ロシアCIS課】

(ロシア)

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