物価上昇を受け、7年ぶりに年度内で最低賃金引き上げ

(トルコ)

イスタンブール発

2022年07月07日

トルコ政府は2022年7月1日付官報31883外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、202271日~1231日の最低賃金を1日当たり166.80リラ(約1,344円、71日付換算レートで1リラ=約8円)から215.70リラに引き上げたと発表した。この結果、最低賃金は月額グロスで6,471リラ(2022年上半期比29.3%増)、同ネットで5,500.35リラ(同29.3%増)となった(添付資料表参照)。

トルコではインフレの影響で、毎年末に1回、最低賃金が調整されることになっており、20211217日に、2022年の最低賃金が月額ネットで4,253.40リラとなった(2021年12月20記事参照)。しかし、2022年上半期のリラ安で、ドルの対リラ為替相場が13.42リラから16.66リラへと上昇したため、202213日時点でドル建てで約317ドルだった最低賃金は、630日時点で約225ドル相当まで下落した。また、6月の消費者物価指数が1月と比べて28.1%と大きく上昇(注)していることも受けて、2015年以来初めて、年度途中での最低賃金の引き上げが行われた。今回の引き上げにより、最低賃金はドル建てで約329ドルとなった。

レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は「2021年末に最低賃金を引き上げたが、その後のインフレにより、最低賃金労働者の受けた損失を補填(ほてん)する必要性が生じた」と引き上げの背景を述べた(7月1日付国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

なお、2022年1月27日付官報31732PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、最低賃金労働者は所得税と印紙税の免除対象となった。これによると、最低賃金より高い給与(グロス)を得ている人も、最低賃金相当部分が所得税と印紙税の免除対象になる。ただし、給与をネットで得る人は、税金が雇用者負担となり、給与額に本免除の影響はない。

(注)20221月の消費者物価指数は763.23ポイント〔2022年2月3日付トルコ統計機構(TUIK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕、6月の消費者物価指数は977.90ポイントで計算(2022年7月4日付TUIK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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