ペルーのエドテック、クレアナがアルゼンチンのSAAS企業ワームホールを買収

(ペルー、アルゼンチン)

リマ発

2022年07月29日

ペルーのエドテック分野のスタートアップ企業クレアナ(CREHANA)は718日、アルゼンチンの人材開発SaaS(サービスとしてのソフトウェア)プラットフォーム運営会社のワームホール(WORMHOLE)を買収したと発表した。クレアナのディエゴ・オルセセ最高経営責任者(CEO)は、今回の買収について「中南米における人材開発のオールインワンプラットフォームとしての地位に向かって着実に前進している」としており、ワームホールの持つ学習管理システム(LMS)の統合を通じて自社サービスの強化を図るとしている。

クレアナは、2013年に資本金1万ドルで起業されたスタートアップ(注1)で、当初は「音楽」「ビジネス」「料理」「写真」などの分野に関するオンライン講習サービスを提供していた。その後、スペイン通信大手のアクセラレーションプログラムである「ワイラ(WAYRA)」や、ペルー生産省(PRODUCE)の支援プログラム「スタートアップ・ペルー(STARTUP PERÚ)」などの官民双方のアクセラレータープログラムを利用。「グラフィックデザイン」や「フォトショップ」などクリエイティブ関連のプログラムの拡充などを経て、2015年にはB2BB2Cで生徒数75,000人、コース数150の規模にまで成長した。20218月には、「新型コロナ禍」にもかかわらず、米国投資ファンドのジェネラル・アトランティックから、シリーズB(注2)段階で中南米のエドテックとして最高額の7,000万ドルの資金調達に成功した。現在の同社の資本金は9,500万ドル、専門講習数は18分野に及んでいる(注3)。

一方、ワームホールのサリー・バベルマンCEOは「中南米におけるEラーニング市場規模は30億ドル以上で、クレアナとの統合は提供サービスの拡充とより最適なソリューションの提供を可能とする」と買収を歓迎した。

(注1)創業当初は「FLIKN.COM」という社名だった。

(注2)投資家が企業に対して投資する段階で、シードステージから今後の成長が見込まれる段階での最初の本格的投資ラウンドを「シリーズA」とし、追加出資の都度「B」「C」とアルファベット順で表現される。

(注3)「マーケティング」「デジタルイラストレーション」「リーダーシップ」「自己開発」「グラフィックデザイン」「図画・絵画」「デジタルトランスフォーメーション」「情報とデータ科学」「販売と顧客体験」「デジタルプロダクツ開発とデザイン」「写真・動画」「生産性とソフトウェア」「手工芸・料理」「ライフスタイル」「デジタル建築学」「運用管理」「モデリング・3Dアニメーション」「管理・経理」の18分野を展開。

(設楽隆裕)

(ペルー、アルゼンチン)

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