サル痘感染者は2,595人に、隔離とワクチン接種で拡大防止

(ドイツ)

ベルリン発

2022年08月02日

ドイツのロベルト・コッホ研究所(RKI)による、同国におけるサル痘感染者の累計人数の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、729日現在、同国内におけるサル痘感染者は、初の感染者が確認された513日から同日までの間に2,595人に上っている。死者は報告されていない。感染者が最も多いのはベルリン州で、全感染者の51.2%を占めている。次いで、デュッセルドルフ市があるノルトライン・ウェストファーレン州が20.9%、ミュンヘン市があるバイエルン州が7.3%と続く。

RKIは、感染者と、感染者との濃厚接触者には、最低21日間の隔離を推奨している。発疹が治まりかさぶたがなくなるまでの期間は、同居人やペットとの接触を避け、可能な限り居住空間を分けるとともに、寝具などの共有も行わないよう推奨している。

ワクチンについては、常設予防接種委員会(STICO)が、曝露(ばくろ)後発病予防(PEP、注)として、(1)感染者との濃厚接触者が14日間、無症状の場合、あるいは(2)感染リスクの高い、複数の相手と性交渉する者(例えば、複数の男性間で性交渉する者など)を主な対象者として、接種を推奨している(いずれも18歳以上)。使用されるワクチンは天然痘用の「インバネクス」で、既に4万回分が確保されており、2022年第3四半期には追加で20万回分が調達される見込みだ。

また、RKIと連邦保健教育センターは「医療関係者およびイベント開催者向け推奨事項外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表している。これは、2022年サル痘感染拡大期間における、夏のイベント開催についてのガイダンスだ。夏季には、音楽や文化などの大型イベントや、参加者の接触密度が高くなるパーティーが多数開催される。こうしたイベントなどにおけるサル痘の感染予防対策として、イベントや施設における衛生措置、保健当局との連携方法、ソーシャルメディアを通じた参加者へのコミュニケーションの在り方などについて、情報提供を行っている。

ドイツでは、513日に初の感染者が確認されて以降、感染が拡大している。RKIとベルリン州保健・社会局が622日までの感染者を分析したところ、ベルリン州の感染者はほぼ男性間性交渉者(MSM)で占められていた。729日時点の累計感染者2,595人のうち、女性は5人。カール・ラウターバッハ保健相は524日の記者会見で、感染者の多くがMSMである状況を踏まえ、彼らへの差別や偏見が発生しないよう、ウイルス感染の可能性は性別や年齢を問わないものであることを強調。感染者が差別を恐れて医療機関にからないことがないよう、注意が払われている。

(注)Post exposure prophylaxisの略。感染症の病原体が体内に進入した可能性がある場合に、治療薬やワクチン投与によって発症リスクを防ぐ治療行為。

(中村容子)

(ドイツ)

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