ブハリ大統領、地場大手へのエクソンモービル子会社株の売却を容認

(ナイジェリア)

ラゴス発

2022年08月17日

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は88日、米国大手エネルギー企業エクソンモービルのナイジェリア現地法人であるモービル・デベロップメント・ナイジェリアの全株式を、地場エネルギー大手セプラ・エナジーの子会社であるセプラ・エナジー・オフショアに売却する合意書を提出した。売却額は少なくとも128,000万ドルに上るとみられる。セプラによると、今回の取引によって、同社はナイジェリアおよびロンドン証券取引所最大級の独立系エネルギー企業となる。

一方、ナイジェリア石油会社(NNPC Limited)(2022年8月1日記事参照)は今回の取引に強く反対している。NNPC Limitedは、エクソンモービルと共同操業契約(JOA)を締結していることを理由に同社に拒否権が与えられているとし、7月にはアブジャ連邦首都地域裁判所から仮差止命令も得ている。これに対しセプラは、同社が裁判の当事者ではないことを理由に、エクソンモービルとの取引はなおも有効だと主張していた。

ナイジェリアでは、2021年に制定された石油産業法(PIA)(2021年8月23記事参照)が、規制当局からの助言に基づき、石油大臣に対して資産の売却を承認する権限を与えている。石油大臣は大統領が兼務するため、ブハリ大統領に最終決定権が与えられているものの、今回の合意書提出は規制当局の助言を無視したともの、と指摘されている。

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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