コスト対策として工業製品税(IPI)の税率を35%削減

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年08月04日

ブラジル政府は729日、同日付政令11,158外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、工業製品税(注1)の税率を改定し、81日から施行した。

経済省によると、同政令の対象は約4,000品目。税率改定により、工業製品税の税率が35%削減される。経済省は国内での生産コストを下げ経済成長につなげていくと説明している。

対象品目と改定後の税率は4つの付属書に記載されている。付属書I(第1類から第28類)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)付属書II(第29類から第39類)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)付属書III(第40類から第81類)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)付属書IV(第82類から第97類)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)となっている。例えば、乗用車用のタイヤ(NCMコード:4011.10.00)は、改定前の税率は15%だったが、改定後は9.75%となる(注2)。

こうした減税の動きはマナウス・フリーゾーン(ZFM)に一定の影響があるとみられる。1967年2月28日付行政令第288外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより設けられた北部アマゾナス州のZFMには、工業製品税を含む税恩典がある(注3)。ZFM域外での税負担が大きければ大きいほど相対的な魅力が増す構図となっていた。ZFMでのビジネス展開を支援するアマゾナス工業センター(CIEAM)730日、同日付の公式サイトで「初期段階の分析ではあるものの、ZFMの幾つかのセクターに損害を与える部分がみられる」と説明した。また、82日付現地紙「AM1」によると、アマゾナス州マナウス市のダビド・アルメイダ市長は工業製品税を削減する法案に反対する立場を示し、ジャイール・ボルソナーロ大統領を強く批判した。82日付現地紙「ア・クリチカ」は具体的な品目として、飲料用の凝縮液や、15インチのノートパソコンなどが影響を受けるとして挙げており、関連製品をZFM内で生産する米国や韓国企業などに影響があるとみられる。今後、CIEAMなどの対応を注視していく必要がある。

(注1)工業製品税はIPIと呼ばれ、輸入工業製品の通関や搬出、製造施設および製造施設とみなされる場所から工業製品を搬出する際に課税される。非関税の製品も多い一方、嗜好(しこう)品などに対しては高い税率が適用される。詳細はジェトロウェブサイトを参照

(注2NCMコードは、メルコスール共通関税番号。最初の6桁はHSコードと同じ。

(注3)具体的には、経済省傘下のマナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)のプロジェクト認可を受けている場合、フリーゾーン域内での消費や製造のために輸入される製品、国内で購入される製品や製造設備、再輸出のために保管される製品は、工業製品税が免除される。詳細はジェトロウェブサイトを参照

(古木勇生)

(ブラジル)

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