中銀、国外から獲得した外貨の銀行以外への売却を認める

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年09月14日

ミャンマー中央銀行は外国為替取引の公認ディーラーの銀行向け8月16日付の指示書で、投資委員会の認可企業や経済特別区(SEZ)内投資企業などの外貨強制両替の免除対象企業が国外から獲得した外貨の利用方法について明らかにした。

指示書によると、免除対象企業は国外から獲得した全ての外貨を自ら使用できるほか、外国為替取引の公認ディーラーの銀行やそれ以外の第三者に売却することができる。当該免除企業から外貨を購入した第三者はその外貨を30日以内に使用する必要があり、使用できない場合には外国為替取引の公認ディーラーの銀行に売却する必要がある。免除対象企業や免除対象企業から外貨を取得した第三者が当該外貨を国外との取引に使用する場合は外国為替監督委員会の承認が必要だ。

また、中央銀行は8月26日付の指示書により、輸出企業が輸出代金の35%まで保有できる外貨を自ら使用するほか、第三者への売却も認めた。中銀8月5日付の通達で、輸出企業は輸出で獲得した外貨収入の65%をミャンマー通貨チャットに両替しなければならないと定め、35%は外貨での保有が可能となっている(2022年8月10日記事参照)。今回の指示書では、35%分を貿易取引の支払いなどに使用することや、外国為替取引の公認ディーラーの銀行やそれ以外の第三者に売却することについて、中銀の承認は不要(注)とし、オフショアローンの元利金払いや配当、サービス費の支払いなどの非貿易取引は外国為替監督委員会の承認を必要とした。

ミャンマーでは、国軍による全権掌握(2021年2月)以降、深刻な外貨不足に陥っている。そのため、外国為替や輸入ライセンスにかかる各種規制措置が矢継ぎ早に打ち出され、ミャンマーでのビジネス活動に著しい影響が生じている。今後も引き続き予断の許さない状況が継続していくとみられる。

(注)外国送金などの承認は中央銀行が管轄する外国為替監督委員会が担ってきた。中銀の承認が不要ということは、外国為替監督委員会の承認も不要と考えられる。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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