カナダ西部と米北西部の山火事が深刻化、大気汚染や重要インフラへの影響懸念

(カナダ、米国)

米州課

2022年09月14日

カナダ西部と米国北西部にかけて山火事が拡大している。カナダでは環境省が9月13日時点で、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)からアルバータ州にかけて、煙による大気質の悪化に関する勧告を出している。米国でもワシントン州やアイダホ州で山火事の発生がやまず、米国側からの煙がBC州都バンクーバーにも到達しているとされる。BC州の大気の質は、週末9月10~11日の降雨により多少改善したとされるが、11日時点の観測によると、世界最悪のレベルに達していたという(ロイター9月13日、CBCニュース9月13日)。

BC州ではこのところ、特に州北東部のバトルシップ・マウンテンの山火事が深刻化し、12日時点で推定280平方キロ(東京ドーム約600個分)の面積が燃焼し、住民1,000人余りが避難を余儀なくされている。山火事発生地付近では州内の電力の大部分の供給を担う2つの水力発電ダムがあり、避難命令対象となっているが、重要インフラであることから、限られたスタッフによって操業が継続されている。水力発電所によると、ダムの操業は今後必要になれば、遠隔操作で行うこともできるという。

また、アルバータ州エドモントンのオイルサンド埋蔵地とBC州バンクーバー郊外のナービーをつなぐ原油輸送パイプライン「トランス・マウンテン」の複線化拡張工事(2019年6月19日記事参照)のBC州内区間現場付近でも山火事が発生し、作業員ら350人が避難した(「バンクーバー・サン」紙9月12日)。状況を見て安全であれば作業を継続し、今後の作業計画を調整するとし、日量30万バレルの同パイプラインの操業にも影響はないとしている。

また、州内のホープ市(静岡県伊豆市の姉妹都市)付近でも、火災によりハイウエー1号線が一時通行止めとなった。

BC州政府山火事情報ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの9月14日時点の情報によると、189件の山火事が発生・継続しており、発生原因は落雷が85.2%、人的要因が12.2%、不明が2.6%と、季節柄、落雷が大多数を占めている。2022年初からの通算発生件数は1,504件に達している。現在、晴天下では空気が乾燥し、延焼拡大しやすいことから、今後も引き続き警戒が必要とみられる。

(高山さわ)

(カナダ、米国)

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