カナダ中銀、政策金利を0.75ポイント引き上げ3.25%に、さらなる利上げも

(カナダ)

トロント発

2022年09月08日

カナダ中央銀行は97日、政策金利を0.75ポイント引き上げ、3.25%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、今後、金利を「さらに引き上げる必要がある」とした。

利上げの決定は20223月以降、5会合連続となる。政策金利は通常0.25ポイント刻みで変動するが、中銀は20224月以降、0.5ポイントの利上げを2回実施した後(2022年4月14日記事2022年6月2日記事参照)、さらに1.0ポイント(2022年7月14日記事参照)の利上げを行った。インフレ抑制が喫緊の課題となる中、今回の0.75ポイントの利上げも市場では広く予想されていた。

中銀は声明文で、ガソリン価格の下落により、7月の消費者物価指数上昇率は、(6月の)8.1%から7.6%に緩和したものの、ガソリンを除くインフレ率は上昇しているとして(2022年8月17日記事参照)、「調査によると、短期的なインフレ期待は依然として高く、この状態が長く続けば続くほど、高インフレが定着するリスクが高まる」と指摘した。

また、カナダの第2四半期(46月)実質GDP成長率3.3%については(2022年9月1日記事参照)、「中銀の予測よりやや弱かったものの、内需を示す指標は非常に好調」とした。ただし、今後は「世界的な需要の減退と、カナダ国内での金融引き締めにより、需要と供給が一致し始めるため、2022年後半に経済が減速する」との予測を継続した。

さらに、インフレの見通しを考慮すると、「依然として政策金利をさらに引き上げる必要があると判断している」とした。

中銀の発表を受け、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「中銀は、歴史的に積極的な利上げを続けている。今回の利上げで、金利は(景気を刺激も抑制もしないとされる)中立金利の域を超え、経済的な制限の域へと移行した」「中銀は景気の先行きを見通すのではなく、目先のデータに重点を置いている。インフレ率に対する過去の利上げの時間的なずれを考慮すると、中銀は2022年末までに政策金利を4.0%まで引き上げると予想される。これは、中銀が物価安定の目標を達成しようとする中で、成長率がさらに犠牲になることを意味する」とコメントした(TDエコノミクス97日)。

次回の政策金利発表は1026日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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