政府、年末までに29.6%の通信料金値上げ許可、年間値上げ幅77.4%に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月28日

アルゼンチン政府は9月23日、国家通信機構(ENACOM)決議第1754/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、携帯電話やインターネット、有料テレビサービスの通信利用料金を2022年末までに29.6%値上げすることを許可した。

政府は2020年8月22日付の必要緊急大統領令(DNU)690/2020号に基づき、情報通信技術(ICT)や通信ネットワークへのアクセスなどを必要不可欠かつ戦略的な公共サービスと定め、これらサービスの価格はENACOMが規制できると規定している(2020年8月25日記事参照)。

今回の決定によると、これらのサービスを提供している業者はサービス料金を10月に19.8%、12月に9.8%引き上げることができる。ENACOMは2022年に入り、1月に一部のサービスについて9.8%、第2四半期(4~6月)の間に19.0%、5月と7月にそれぞれ9.5%の値上げを許可していた。今回の値上げを含むと、携帯電話、インターネット、有料テレビサービスの年間値上げ率は合計77.4%となる。今回の決議では、値上げを許可する理由として、サービスを提供する業者が直面するコスト上昇や経済指標の変動による影響を考慮したものとENACOMは説明している。

9月23日付現地紙「ラ・ナシオン」によると、携帯電話、インターネット、有料テレビの各サービスを行う業界はENACOMの規制を通じた政府の関与に反発し続けている。料金の値上げが規制されているほか、政府が許可していない値上げが確認された場合、業者は顧客への料金の払い戻しが求められるためだ。また「社会的弱者層」と定義される貧困層などは今回の値上げの対象外とされていることも問題視している。

写真 アルゼンチンの主な携帯電話、インターネットサービス業者の請求書。値上がりを続けている(ジェトロ撮影)

アルゼンチンの主な携帯電話、インターネットサービス業者の請求書。値上がりを続けている(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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