第2四半期のGDP成長率、前期比マイナス0.7%、洪水や電力不足の影響大きく

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年09月26日

南アフリカ共和国統計局は9月6日、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)をマイナス0.7%と発表した(添付資料表1参照)。同年第1四半期(1~3月)の実質GDPは新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復していた(2022年6月17日記事参照)が、当期はその水準を下回った。主な要因は4月に発生したクワズール・ナタール州での洪水による経済活動の停止(2022年4月21日記事参照)や慢性的な電力不足とされる。

産業別でみると、7つの業種がマイナス成長だった。第1四半期に5.0%増と最も好調だった製造業は5.9%減となった。製造業が集積するクワズール・ナタール州での洪水によって、一部の工場が一時的に生産を停止したことが大きく影響したかたちだ。農林水産業は、7.7%減と最大の減少幅だった。洪水や停電の影響だけでなく、口蹄疫(こうていえき)の発生による畜産物の生産減少がその要因として挙げられる。鉱業は、金、石炭、マンガン鉱石、ダイヤモンドの生産が落ち込み、3.5%減だった。一方、運輸・倉庫・通信と金融・保険・不動産業・企業サービスはともに2.4%増のプラス成長だった。

需要項目別では、政府最終消費支出が0.7%減だったものの、それ以外はプラス成長だった。特に財・サービスの輸入は、化学製品と鉱物の輸入増により、5.6%増となった(添付資料表2参照)。

南ア金融大手インベスティックのエコノミストは、当期のGDPは洪水による経済活動の停滞の影響が非常に大きかったが、今後の景気は回復基調に戻るとし、依然として2022年通年のGDP成長率は前年比でプラスの1.9%になるとの見通しを示している。ただし、地政学的な問題や、欧州の景気後退の可能性、ロシアの石油供給削減によるエネルギー不足など、特に貿易の分野での下振れリスクは高いままだとしている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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