欧州医薬品庁、2種類のオミクロン株対応型ワクチンの承認を勧告
(EU)
ブリュッセル発
2022年09月02日
EUの医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は9月1日、新型コロナウイルスの従来株に加えて、オミクロン株派生型BA.1に対応した米国ファイザーとドイツ・ビオンテック製のワクチンと、米国モデルナ製のワクチンについて、それぞれ承認すべきと勧告した(プレスリリース)。オミクロン株対応型ワクチンとしては、EUでは初の承認勧告となる。欧州委員会は今後、今回の勧告に基づき、ファイザー・ビオンテックおよびモデルナのオミクロン株対応型ワクチンを速やかに承認するものとみられる。
今回の勧告によると、ファイザー・ビオンテックおよびモデルナのオミクロン株対応型ワクチンの使用の対象となるのは、12歳以上の少なくとも初回接種(1回目と2回目のワクチン接種)を完了した者だ。同ワクチンは、初回接種後あるいは1回目のブースター接種(3回目のワクチン接種)後に使用でき、最後の接種から少なくとも3カ月の期間を空ける必要がある。副反応については、従来のワクチンと同程度との見解を示した。
欧州委は、オミクロン株対応型ワクチンを確保すべく、既に製薬会社との購入契約を変更していることから、2022年の秋から冬にかけて、EU全加盟国が必要とする十分な量のオミクロン株対応型ワクチンの供給を受けることができるとしている。ワクチン接種の対象者や接種時期については、加盟国の権限となることから、欧州委は今後、加盟国に向けて新たなワクチン接種戦略を発表する予定だとした。
オミクロン株派生型BA.4とBA.5に対応したワクチンも早期の承認を視野に
EUでは、オミクロン株派生型BA.1以外の派生型に対応したワクチンの承認に向けた作業も進めている。EMAは、オミクロン株派生型BA.4およびBA.5に対応したワクチンに関して、現在、逐次審査(ローリング・レビュー)を実施中で、製薬会社による正式な承認申請も間近だとしている。欧州委は今後、早ければ数週間のうちにこれらのワクチンも承認できる可能性があるとしている。
(吉沼啓介)
(EU)
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