カリフォルニア州民55%がEVなど促進のための高所得者向け増税を支持、シンクタンク調査

(米国)

サンフランシスコ発

2022年09月28日

米国のカリフォルニア公共政策研究所(PPIC)は9月14日、11月8日の中間選挙を前に同州住民を対象に行った世論調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。同調査結果によると、中間選挙で議題にかけられる住民提案(プロポジション)の1つである「プロポジション30」、通称「クリーン・エア・イニシアチブ」に賛成票を投じると回答した割合が55%であることが分かった。プロポジション30は、ゼロエミッション車(ZEV)購入インセンティブや電気自動車(EV)充電施設、森林火災予防のための財源確保を目的に、年間個人所得が200万ドル以上の納税者を対象に州所得税率を1.75%上乗せすることを提案している。

同州の所得税率は、9段階に分かれており、年間所得が200万ドル以上の個人に対しては最高の12.3%(2021年所得分税率)が適用されている。プロポジション30が可決すれば、年間35億~50億ドルの増収を見込めることになる。

同州は8月25日、2035年までのガソリン乗用車の新車販売全面廃止に向けた規制を正式に承認した(2022年9月1日記事参照)。この2035年までの目標は、ギャビン・ニューサム州知事が2020年に発した知事令で掲げたものだ(2020年10月2日記事参照)。他方、同知事はプロポジション30には反対を表明しており、動画による大々的な反対広告を打ち出した。ライドシェア大手のリフトがプロポジション30最大の援助資金提供者であることから、同知事は広告動画内で「プロポジション30は気候変動への取り組みと宣伝されているが、実際は一企業が州の所得税を自分たちの懐に流し込むために考案されたもの」と同社を糾弾している。同州では2021年3月、ライドシェア企業に対し2030年までに走行距離の90%をEVによるものにすることを義務付けている。

9月14日にオークランド市で行われたプロポジション30の集会に、同市のリビー・シャーフ市長や民主党議員らとともに参加したリフトの共同創業者兼社長、ジョン・ジマー氏は「プロポジション30はわれわれの隣人やコミュニティーの健康に関するものだ。環境問題のリーダーらが州の排ガスを削減するためのプランを持ってわれわれにアプローチしてきた時に(プロポジション30に)関わることに同意したのはそのためだ」と述べている(「KQED」9月15日)。

(注)同州民1,705人を対象に9月2~11日に実施。

(田中三保子)

(米国)

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