英BP、米アーキア・エナジーを約41億ドルで買収、バイオエネルギー事業加速へ

(米国、英国、アイルランド)

ヒューストン発

2022年10月18日

英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)は10月17日、バイオエネルギー事業の加速に向けて、米国の再生可能天然ガス(RNG)生産大手アーキア・エナジー(Archea Energy、本社:テキサス州ヒューストン)を約41億ドルで買収することに合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アーキアは米国内で50のRNGと埋め立てガス発電施設を運営し、日量約6,000バレル(原油換算)のRNGを生産している。

RNGは、牛ふんなど農場から出る有機性廃棄物や、埋め立て地などから発生するバイオメタンを回収・処理して製造される。バイオメタンには二酸化炭素(CO2)の25倍以上の温室効果があるとされている。従って、大気中に放出せずに再生可能天然ガスとして利用するRNGは、温室効果ガス(GHG)排出量を減らすことにつながり、短期的な気候変動対策として注目され、需要増が期待されている。

BPは、同社が販売するエネルギー製品の平均炭素強度(注)を2050年までにゼロにすることを目標に掲げ、エネルギー移行期の戦略的成長事業としてバイオエネルギーや再生可能エネルギーなど5つの事業を発表している。同社は、5事業への投資を2025年までに年間資本支出全体の40%以上、2030年までに50%程度に拡大することを目指しており、現在日量約1万1,000バレル(原油換算)のRNGを生産するなど、大規模にバイオガス事業を展開している(ロイター10月17日)。同社は今回の買収を通じて、アーキアのRNG生産量を2030年までに現在の5倍となる日量3万バレル(原油換算)に増やすとしていて、米国のバイオガス市場でのプレゼンス拡大を図る狙いもある。

BPのバーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)は「エネルギー転換のために規律ある投資を行い、事業統合を通じてさらなる価値を創造する。これこそが、当社が目指す総合エネルギー企業への変革だ」と述べた。

BPは米国で脱炭素化事業を進めており、5月にアイルランドのリンデとテキサス州メキシコ湾沿岸での二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトを発表し(2022年5月19日記事参照)、6月には米国ジーボがアイオワ州で生産するRNGをカリフォルニア州で販売すると発表した(2022年6月16日記事参照)。

(注)エネルギー単位当たりのCO2排出量、すなわちCO2排出原単位を示す。炭素集約度とも呼ばれている。

(沖本憲司)

(米国、英国、アイルランド)

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