パースで日豪首脳会談、安保やエネルギーなどで連携強化

(オーストラリア、日本)

シドニー発

2022年10月28日

岸田文雄首相とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相との首脳会談が10月22日、西オーストラリア州パースで行われた。日本の首相が同国を訪問するのは2018年以来4年ぶりだった(2018年11月19日記事参照)。

アルバニージー首相は首脳会談の冒頭あいさつ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで岸田首相の訪問を歓迎し、5月に自身が首相に就任して以来、今回が岸田首相との4回目の会談と述べた。また「両国は互いにとってこれまで以上に重要な存在だ。当選と首相就任から48時間以内に東京に行き、日本の首脳と会談を行ったことは非常に素晴らしい始まりだった。両国の関係は相互の信頼、尊敬、関心の上に築かれている」と述べ、両国の良好な関係を強調した。

日本の外務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、首脳会談で両国は安保・防衛協力や「自由で開かれたインド太平洋」、資源・エネルギー分野を中心に協力が深まっていることに鑑み、両国の「特別な戦略的パートナー」が新たな次元に入ったとの認識で一致したとしている。経済分野では、エネルギーに関して、アルバニージー首相から、オーストラリアは信頼できる貿易パートナーであり、安全な投資先であり続けるという立場を説明し、両国は資源エネルギー分野で協力をさらに強化していくことで一致したとする。気候変動や、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)についても議論を交わしたとしている。

岸田首相は10月22日の会談後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで今回の成果について、安全保障協力分野で新たな安全保障協力に関する日豪共同宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の署名を行ったこと、エネルギー協力分野については重要鉱物に関するパートナーシップに署名したことに言及した。

重要鉱物関連のパートナーシップに署名、両首脳はニッケル精錬所を視察

重要鉱物に関するパートナーシップについて、オーストラリア連邦政府は10月22日付でアルバニージー首相、キング資源・豪北部担当相の合同プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。プレスリリースで連邦政府は、パートナーシップが両国の安定した重要鉱物サプライチェーンの確保を行い、研究や投資、両国間の商業的な取り決めなどの情報共有・情報交換の促進などの枠組みを構築するものとなると表明した。

鉱物資源関連では、22日に両首脳はオーストラリア資源大手BHP(本社:メルボルン)のニッケル・ウェスト・クウィナナ・ニッケル精錬所を視察した。視察にはBHPのほか、日本からはプライムプラネットエナジー&ソリューションズ、豊田通商が参加した。両社はBHPとニッケル供給の覚書を締結している。クウィナナ・ニッケル精錬所は硫酸ニッケルの結晶をオーストラリアで初めて生産した場所で、生産した硫酸ニッケルは電気自動車(EV)向けのバッテリーや電池の材料として利用されている。

(青島春枝)

(オーストラリア、日本)

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