ベルリン発のアグリテック・ユニコーン:インファーム(西村経済産業大臣も視察)

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2022年10月13日

ドイツを9月に訪問した西村康稔経済産業大臣は、スーパーマーケットなどの屋内で垂直農法による野菜栽培を手掛けるベルリン発スタートアップのユニコーン(注)、インファーム(Infarm – Indoor Urban Farming)を訪問し、意見交換を行った。

インファームは、2013年1月に設立されたベルリン発アグリテックのスタートアップで、屋内栽培型の「スマート栽培ユニット」をドイツ大手エデカ(EDEKA)などのスーパーマーケットや飲食店に導入し、屋内で野菜を栽培する事業を展開している。日本を含む世界10カ国で稼働中の全てのユニットをクラウド上で管理しており、オンラインで対応が可能だ。2021年にはユニコーンとなった。

2020年にアジア初の拠点として、東京都に株式会社を設立。同社に出資するJR東日本の支援を受け、都内を中心に紀ノ國屋やサミットストアの店舗内などでスマート栽培ユニットでの都市型農業を展開している。

今回、西村大臣が視察したInfarm Growing Centerは、インファームが2021年に最新鋭の大型自動栽培センターとしてベルリン市内に設立したもので、最大で15メートルの高さのスマート栽培ユニットにより、約1万平方メートルの農地分の作物を栽培することができる。LED/水耕栽培技術により、従来の農地栽培と比較して、水の使用量や使用する土地の面積ともに95%削減、化学農薬は一切、使用しておらず、環境負荷を大きく軽減した農業を実現している。

写真 「スマート栽培ユニット」でさまざまな野菜を栽培可能(インファーム提供)

「スマート栽培ユニット」でさまざまな野菜を栽培可能(インファーム提供)

インファームの東京進出に当たっては、ジェトロの対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)や各種手続きのサポートを利用した。2021年12月にジェトロとドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)が立ち上げた「日独イノベーション・イニシアチブ160」のキックオフセミナーでも、日本法人代表取締役社長の平石郁生氏が登壇し、地球規模の社会課題解決の日独イノベーション連携の先行事例として紹介した実績がある(2021年12月23日記事参照)。

(注)企業評価額10億ドル以上で未上場のスタートアップ。

(和爾俊樹、小菅宏幸)

(ドイツ、日本)

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