クルティエール経済相が辞任
(メキシコ、米国、カナダ)
メキシコ発
2022年10月11日
メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は10月6日、早朝記者会見でタティアナ・クルティエール経済相の辞職を発表した。同会見で、AMLO大統領は「われわれは経済相の職にとどまるよう求めたが、クルティエール経済相の意思は固く、その決断を尊重した。」と述べた(10月6日付AMLO大統領早朝記者会見録)。
クルティエール経済相はAMLO大統領に宛てた手紙を読み上げ、野球に例えながら、「メジャーリーグに招待され、さまざまなポジションでプレーし、メキシコのために尽くしてきたが、引退のタイミングを知らなければならない」と語った。しかし、「7月26日に話し合い、9月9日に再確認したが、チームに参加する機会を逸したので、応援する側に回る」と話し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に関する米国、カナダからの協議要請に対応する立場について、同氏が感じる違和感に関連性があることをほのめかした(「エル・フィナンシエロ」紙10月6日)。
USMCAにおいて、自動車原産地規則の解釈をめぐるパネル裁定(2022年8月5日記事参照)と、メキシコのエネルギー政策に対する米国とカナダの協議要請(2022年8月9日記事参照)という2つの懸案事項がある中での退任となる。
新経済相に国税庁長官のラケル・ブエンロストロ氏が就任
AMLO大統領は翌日7日の早朝会見で、新経済相に現国税庁(SAT)長官のラケル・ブエンロストロ氏が就任することを発表した。同会見でAMLO大統領は、同氏について「SATでは素晴らしい仕事ぶりで、(不況下でも)税収を減少させることはなかった。模範的で全幅の信頼を寄せている」と述べた。ラケル・ブエンロストロ新経済相の略歴として、メキシコ国立自治大学(UNAM)で数学の学士号を取得し、メキシコ大学院大学(Colegio de México)で経済学の修士号を取得。また、25年以上にわたり行政に携わり、大蔵公債省予算管理局局長補佐、メキシコ石油公社(PEMEX)企画開発課長、メキシコ市財政政策担当副財務官など、さまざまな役職を歴任している(10月7日付AMLO大統領早朝記者会見録)。
日本の経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)は経済省の新トップに対し、メキシコの経済再活性化を行うべく、民間企業に影響を及ぼす懸案事項に取り組むよう求めた。CCEのフランシスコ・セルバンテス会長は「われわれは国のために協力し、良好な経済環境を生み出し、進行中のプロジェクトおよび国内産業を強化する雇用創出を継続することをあらためて表明する」と述べた(「エル・エコノミスタ」紙10月7日)。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
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