COP27で各国がパビリオンを設置

(エジプト、インド、アラブ首長国連邦)

カイロ発

2022年11月08日

エジプトで116日から18日まで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、本会議場を含む「ブルーゾーン」内に多くの国々がパビリオンを設置している。海面上昇の影響を受けるミクロネシア連邦や、氷河の融解で水資源を喪失するタジキスタンなどは、気候変動対策の必要性を訴える内容を展示している。一方で、気候変動対策に寄与する技術を展示する国もあり、日本も自国の取り組みを紹介している(2022年118日記事参照)。

温室効果ガス排出量の多いインドは、前回のCOP262070年までの純排出量ゼロを宣言したが(2021年11月5日記事参照)、COP26最終日には「石炭火力発電の段階的廃止」への反対を表明した。COP27のパビリオンでは、COP26でナレンドラ・モディ首相が提唱した「LiFE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますLifestyle for Environment)」の概念に基づき、家庭や産業など排出を減らす余地がある分野をモデルで提示し、気候変動対策における個人レベルでの行動変容の重要性を動画やセミナーで訴える。パビリオン開幕イベントには、ブペンドラ・ヤーダブ環境・森林・気候変動相が参加し、インドの1人当たり二酸化炭素(CO2)排出量は少ないこと、社会経済が発展途上である国への配慮は必要であること、COP26の後に自国の排出量削減目標(NDC)を再設定したことなどに触れた。その上で、学生が開発した環境に配慮した行動を促すアプリの成功事例などにふれ、「誰もが自分の可能な範囲で参加すること」「それを促す技術を導入すること」が重要と述べた。

写真 インドパビリオン内ステージで開幕イベントに登壇するヤーダブ環境・森林・気候変動相(中央)(ジェトロ撮影)

インドパビリオン内ステージで開幕イベントに登壇するヤーダブ環境・森林・気候変動相(中央)(ジェトロ撮影)

次回COP28の開催国となるアラブ首長国連邦(UAE)は、エジプトに次ぐ規模のパビリオンを設置し、カーボンニュートラルの都市を目指すマスダール市内で建設が開始されたマスダールスクエア(MC2)を紹介した。また、エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の、太陽光由来の電気で製造した「太陽光発電アルミニウム」も注目を集める。アルミニウム精錬は電力を大量に消費するため、EGAによると、世界の温室効果ガスのうち2%はアルミ産業が排出している。同社製品の使用によりCO2排出削減効果が期待できるとして、すでにドイツ自動車メーカーのBMWが導入を決めており(2021年9月1日付地域・分析レポート参照)、周辺国への販路拡大も見込んでいる。

写真 UAEパビリオン内の「太陽光発電アルミニウム」(左)と「マスダールスクエア(MC2)」(右)(ジェトロ撮影)

UAEパビリオン内の「太陽光発電アルミニウム」(左)と「マスダールスクエア(MC2)」(右)(ジェトロ撮影)

(福山豊和)

(エジプト、インド、アラブ首長国連邦)

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