日系企業の賃金は前年比9.5%増、インフレ対応の従業員支援も、ジェトロ調査

(ハンガリー、日本)

ブダペスト発

2022年11月17日

ジェトロは、ハンガリーに進出している日系企業に対して、賃金の上昇率や賃金額、人材確保状況、高インフレ率に伴う支援制度などに関するアンケート調査(調査期間:830日~930日)を実施し、16社(うち製造業12社、非製造業4社)から回答を得た。

それによると、賃金の平均上昇率は前年比で9.5%だった。事業形態別に分けると、非製造業では8.3%、製造業は従業員300人超の企業で10.6%、300人以下の企業で9.6%となった。2021年の上昇率についても質問したところ、非製造業で6.7%、製造業は従業員300人超の企業で5.5%、300人以下の企業で5.9%だった。今回の高改定率は、政労使間で決めた2021年の最低賃金の大幅改定とインフレ率の上昇が影響したものとみられる(注1)。

従業員300人超の製造業における職制ごとでの平均賃金をみると、セクションマネージャー(課長クラス)が1115,454フォリント(約402,000円、1フォリント=約0.36円)、エンジニアが677,350フォリント、営業職が597,500フォリント、事務職が512,712フォリント、オペレーターが36195フォリントだった。

賞与については、平均で1.2カ月分が支給されている。非製造業で1.3カ月分、製造業は従業員300人超の企業は1.0カ月分、300人以下の企業で1.4カ月分となっている。

従業員に支給しているフリンジベネフィット(付加的手当)についても尋ねた(複数回答可)。セーチェニカード(注2)の支給は12社、通勤手当は7社が支給している。また、製造業では、社員食堂補助(4社)、任意の年金基金(3社)を実施している企業もあった。

また、2022年に入り、インフレが高い水準で進行していることから、ベースアップ以外にさらなる支援を従業員から求められているとの声が多く聞かれた。そこで、インフレ対応としてどのような対応を行ったかについても、今回初めて尋ねた。

賃金支援制度を導入済みの企業が6社、導入検討中の企業が6社だった。導入済みの企業に支援策の内容を尋ねたところ(複数回答可)、6社が月額25,0005万フォリントの固定額を支給している。3社が7.215%の再度の賃上げを実施となっている。

在宅勤務については、全員出社体制に戻した企業が6社、週単位で一定日数の在宅勤務を継続している企業が同じく6社、月単位で出社日数を指定した在宅勤務を継続した企業が3社、在宅勤務を継続した企業が1社だった。

(注1)ハンガリーでは202111月に、2022年の月額最低賃金を2021年比で約19%増と大幅に引き上げる決定を行った(20211122日記事参照)。またハンガリー中央統計局によると、202219月の消費者物価指数は前年同期比11.8%の上昇だった。

(注2)宿泊施設やレストラン、娯楽施設などで使える電子バウチャー。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、日本)

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