ホンダ、米オハイオ州で2024年から新型燃料電池車の生産開始
(米国、日本)
ニューヨーク発
2022年12月02日
ホンダの米国現地法人アメリカン・ホンダモーターは11月30日、オハイオ州メアリズビルのパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で、2024年から新型の燃料電池車(FCV、注)の生産を開始すると発表した。新型FCVはスポーツ用多目的車(SUV)タイプの「CR-V」をベースとする車両で、水素燃料の充填(じゅうてん)と車載バッテリーへの外部充電のいずれでも走行可能な仕様となる。
ホンダは、2040年までに世界で電気自動車(EV)とFCVの販売比率を100%にするとの目標を掲げており、この新型FCVも目標達成に向けた取り組みの一環となる。同社のゲイリー・ロビンソン副社長(自動車企画・戦略担当)は「米国でバッテリー式EV(BEV)の生産計画を加速させながら、FCVの少量生産も開始し、持続可能な輸送の未来の一部として大きな可能性をさらに追求していく」と述べた。
FCVは、従来のガソリンタンクの代わりに高圧水素タンクを搭載し、燃料電池内で発電して電気モーターを駆動させることで、二酸化炭素ほか有害物質を排出することなく走行できる。FCVは、2022年8月に成立したインフレ削減法でEV税額控除の対象車両に含まれており、環境対応車として一定の注目を集めている。他方、2022年第3四半期(7~9月)に米国で販売されたFCVはトヨタ「ミライ」、現代「ネッソ」、ホンダ「クラリティ」の3モデルのみで、合計販売台数はわずか154台となっている。
ホンダは、2002年に世界初の量産型FCV「FCX」を米国に導入し、2017年に「クラリティ」を市場投入した(2021年8月に生産中止)。同社はゼネラルモーターズ(GM)との関係を深め、2013年に次世代燃料電池システムと水素貯蔵技術の共同開発に関する長期的な業務提携契約を締結し、2017年には大量生産に向け合弁会社の設立を発表した。また、同社は2014年にカリフォルニア州で水素補給網を拡大するため、水素ステーション運営会社のファーストエレメントに対する1,380万ドルの投資を発表するなど、FCVの普及を目的に積極的な取り組みを進めている。
(大原典子)
(米国、日本)
ビジネス短信 1b0dfd341b7fd83a