メルセデス、ポーランドで電動バン工場を新設予定と発表

(ポーランド、ドイツ)

ワルシャワ発

2022年12月19日

ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツ・バンズは12月12日、ポーランド政府やその他の提携先と覚書(MoU)を締結し、ポーランド南西部ヤボルに電動バンの工場を建設する計画を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。投資額は13億ユーロ、最終的に2,500人程度を雇用する見通しだ(同日付政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ヤボルでは、メルセデスの乗用車部門メルセデス・ベンツ・カーズが2019年から内燃エンジンの製造を開始しており、2021年からはバッテリーの生産も行っている(2019年1月30日記事参照)。既存インフラを活用して建設予定の工場は同社初の電動バン専用の生産拠点となり、電気自動車(EV)用プラットフォーム「VAN.EA(バン・エレクトリック・アーキテクチャー)」をベースに生産を予定する。2022年までにEVを全セグメントに投入し、2025年以降の新型車をEVのみにする同社の戦略(2021年8月3日記事参照)に基づいている。

ポーランドでは、ソラリスが電気バスを生産するなど、エレクトロモビリティー(eモビリティー)関連のエコシステムの形成が進みつつある。韓国のLGグループによる投資をきっかけに、同グループのサプライヤーであるエンケムも新工場建設を発表(2022年1月27日記事参照)するなど、韓国企業の進出も進んでいる。韓国のリチウムイオン電池用部品メーカーのANPエネルテックも、ポーランドに工場を設置すると、ポーランド投資・貿易庁(PAIH)が10月に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

「ポリティカ・インサイト」紙(12月13日)は、メルセデスのバン工場新設も同様に、部品メーカーがポーランドに生産拠点を置くことを促進する効果をもたらすことが期待できると報じた。

ポーランドのバルデマール・ブダ開発・技術相はメルセデスの新投資に対し、「ポーランドは投資先として、また同様に重要な再投資先としても、優れていることを証明できた」とし、「ポーランドの経済、投資優遇措置、そして何よりも優秀な従業員としてのポーランド人が高く評価されている」と述べた(開発・技術省の12月12日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

上述の13日付「ポリティカ・インサイト」紙は、メルセデスは今回の投資で、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う地政学リスクを恐れていないというシグナルをほかのグローバル企業に発しており、同社が軍事行動がポーランドの領土に波及する確率を低く見積もり、同国に投資した資本は安全と信じていることを示しているとの見方を示した。

(マルタ・ゴロンカ)

(ポーランド、ドイツ)

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