2022年はエネルギー高騰が経済成長を後押し

(アルジェリア)

パリ発

2022年12月27日

アルジェリアは、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー価格高騰の影響を受け、輸出総額の大半を占めるエネルギー部門の輸出を大きく伸ばした。貿易収支は2021年に黒字転換し、2022年も政府は170億ドルの黒字を見込んでいる。IMFによると、外貨準備高は2021年の467億ドルから2022年9月には535億ドルまで増加し、2022年のアルジェリアの経済成長率予測を2.4%から4.7%に上方修正している。また2022年上半期のエネルギー部門の輸出額は224億ドルに達し、前年同期比約4割増を記録した(7月25日付アルジェリア・プレスサービス)。

一方、経済の多様化が徐々に進み、非エネルギー部門の輸出額も増加傾向にある。2022年末までに70億ドルに達し、前年比約4割増になると予測される。従来の主要輸出品目の肥料や化学製品、砂糖、デーツに加え、近年の外資系やアルジェリア企業の投資により、2021年以降はセメント、鉄鋼製品、ガスタービン、タイヤなどの輸出が大きく伸びている。

投資に関しては、自動車、医薬品、食料品などの製造業で、複数の投資計画が発表されている。

自動車分野では、大手ステランティスが10月にアルジェリア進出を発表し、同国で発表された投資案件の中で最大級となった(2022年10月19日記事参照)。新車や組み立て用部品の輸入規制によって2017年以降、新車は輸入も現地製造も停止していた。2022年に政府は自動車製造と新車輸入に関する政令を公布し、輸入と製造再開に向けた動きを見せていた(2022年11月24日記事11月25日記事参照)。

医薬品分野では、2022年中に投資計画が相次いで発表された。アルジェリア医薬品メーカーのオリオンとビオファーム傘下プロファムは7月、抗がん剤製造工場の開所式を行った。アルジェリアのビオケア傘下ビオテラは7月、国内の糖尿病患者数が成人人口の15%を占める約280万人に上る中、ペン型インスリン注入器製造工場の建設を完工した。

食品分野では、米国のエビ養殖企業トランス・アメリカン・アクアカルチャーが7月、アルジェリア企業と合弁会社設立に関する合意書を締結した。国内や欧州市場向けに養殖エビを販売する予定だ。

再生可能エネルギー分野では、2021年12月に国家太陽光発電所建設計画「Solar 1000 MW」に関する入札が公示されたが(2022年11月7日付地域・分析レポート参照)、2022年4月に予定されていた入札の結果発表はいまだ行われず、計画の実施は既に遅れている。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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