中部地域のエコシステム、浜松の産官学も世界にPR

(日本、世界)

浜松発

2022年12月14日

ジェトロが112829日に「セントラル・ジャパン・スタートアップ・エコシステム・コンソーシアム(Central Japan Startup Ecosystem Consortium)」(注1)と共同で実施したメディア招聘(しょうへい)ツアーの2日目が浜松で開催された(2022年12月12日記事参照)。浜松市と光産業創成大学院大学、浜松ホトニクス、ヤマハが参加メディアに対して浜松のエコシステムをPRした。

地域のエコシステムとして活動している浜松市と光産業創成大学院大学は、浜松は多様な製造業の創業の地であり、その根底にはチャレンジ精神を意味する「やらまいか」精神が土壌としてあることを紹介した。また、人口増などを受けた世界的な課題解決のために産学連携で技術革新を進める必要があると説明。その枠組みとして、浜松地域イノベーション推進機構フォトンバレーセンターが、スタートアップ企業の課題を大学が解決しその活動に支援機関が助成する制度「A-SAP(エーサップ)」を運営していることを紹介した。また、モビリティー分野では次世代自動車センターが技術支援していることなどを説明した。

写真 メディアへのプレゼンの様子(ジェトロ撮影)

メディアへのプレゼンの様子(ジェトロ撮影)

浜松ホトニクス中央研究所は「真の価値は新しい知見であり、お金ではない」という訓示の下で日々活動していると説明。同社の光技術は先端科学研究に幅広く活用されている。同社の光技術がカミオカンデやヒッグス粒子発見のノーベル賞受賞を支えてきたことや、自動運転技術「LiDAR」関連製品も開発していることを強調した。LiDAR用機材をはじめ、ドイツのフラウンホーファー研究所とのレーザー加工に関する共同研究などについて、機材デモもしながら紹介し、モビリティーの革新・イノベーションに光技術が幅広く役立っていることをPRした。

写真 メディアへのデモ(ジェトロ撮影)

メディアへのデモ(ジェトロ撮影)

ヤマハは、モビリティーを切り口に同社の取り組みを紹介した。CASEC:相互通信、A:自動運転、S:シェアリング、E:電動化)時代を迎えて車載用デバイスに革新が求められ、モビリティーの独自性を定義する必要が出ていると説明。オープンイノベーションの事例として、モビリティーをワーキング空間に活用するためにオンライン会議の在り方を再定義していることや、安全性向上のため運転者の音の認知性を向上させる技術を紹介し、空間としてのモビリティーの革新に貢献していることをPRした。

写真 事業者のプレゼンとそれを聞くメディア(ジェトロ撮影)

事業者のプレゼンとそれを聞くメディア(ジェトロ撮影)

説明者の事業者や関係機関は入念に準備した上で説明していた。今回取材した海外メディアからは質問が活発に出て、関心の高い様子が見て取れた。

(注1)Central Japan Startup Ecosystem Consortium:愛知県、名古屋市、浜松市、中部経済連合会、名古屋大学などが構成自治体・団体。

(注2)スタートアップ・エコシステム形成推進事業:スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略(2019年6月)に基づき、エコシステムの中核となる拠点都市を全国から8都市を選定。国内外の産学官連携を通じて、スタートアップの成長を支援し、各拠点都市でスタートアップ・エコシステムの形成を加速することを目指す。

(田辺知樹)

(日本、世界)

ビジネス短信 a0b77dcc5adbee4f