米下院民主党トップにジェフリーズ議員、連邦議会で黒人史上最高位に

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月02日

米国連邦議会下院の民主党議員らは11月30日、中間選挙後の下院の党トップに、ハキーム・ジェフリーズ議員(52歳、ニューヨーク州)を選出した。これまでナンシー・ペロシ下院議長(82歳、カリフォルニア州)が務めてきたポストを引き継ぐ。

ペロシ下院議長は11月17日、党内の世代交代の必要性を指摘し、第118議会(2023年1月3日~2025年1月3日)では民主党の要職には立候補しない考えを表明していた(2022年11月21日記事参照)。それに呼応して、党内第2位のステニー・ホイヤー議員(83歳、メリーランド州)も党要職から退く考えを明らかにしていた。今回の選出では、ジェフリーズ議員のほか、党内第2位にキャスリン・クラーク議員(59歳、マサチューセッツ州)、第3位にピート・アギラー議員(43歳、カリフォルニア州)が就任することが決定した。中間選挙の結果を受けて、第118議会では民主党は少数党となるため、ジェフリーズ議員は少数党院内総務、クラーク議員は少数党院内幹事、アギラー議員は下院民主党幹部会会長の座に就くことになる。

ジェフリーズ議員はニューヨーク州第8選挙区の選出で、2013年1月から5期連続で議員を務めている。黒人としては上院を含めて連邦議会で史上最高位のポストに就くことになる。民主党内でも、女性で史上最高位を務めたペロシ議長に続いて、歴史的な人事にしたいとの意向もあったようだ。ジェフリーズ議員は選出を受けた声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、クラーク議員やアギラー議員らと協力して、政治よりも国民を優先し、民主党の価値観のために闘っていくとした。共和党とは可能な限り共通の土台を模索するとしつつ、「必要な場合には相手方の過激主義に反対していく」と述べた。ジェフリーズ議員は党内トップへの立候補に当たって11月18日に下院民主党議員に送った書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、(1)全ての(民主党)議員に力を与える、(2)安全を優先する、(3)(2024年の選挙で)多数党を奪還するという3つの原則に基づいて党を運営していく考えを示した。特に(1)に関しては、同議員の課題とされている党内左派、いわゆるプログレッシブ派との協調を意識したものとみられる。同議員は中道派で、過去にはプログレッシブ派を批判する発言も行っている。米メディア「アクシオス」(11月30日)によると、下院民主党議員を中心に約100人で構成するプログレッシブ部会を率いるプラミラ・ジャヤパル議員(ワシントン州)は11月29日、ジェフリーズ議員と会談を行い、主要な左派議員らとも膝を詰めて対談するよう進言したとしている。共和党のみならず党内でも協調を図れるか、今後、同議員の力量が試される。

(磯部真一)

(米国)

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