カナダ政府、2023年から2年間のカナダ人以外の住宅用不動産購入禁止規則を公布

(カナダ)

トロント発

2022年12月23日

カナダ政府は12月21日、「カナダ人以外による住宅用不動産の購入禁止法」第8条に基づき、「カナダ人以外による住宅用不動産の購入禁止に関する規則」を公布外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新規則の下、2023年1月1日から2年間の時限措置としてカナダ人以外による住宅用不動産の購入が禁止される。

政府は、オフショア資金の流入により大都市圏の住宅価格が上昇したことから、外国人によるカナダでの非レクリエーション用の住宅用不動産購入を2年間禁止する法規制の整備を2022年4月の予算案で発表していた(2022年4月12日記事参照)。「カナダ人以外による住宅用不動産の購入禁止法」は6月23日に公布、2023年1月1日付の施行が決まっていたが、同法では法律適用における例外規定の条件が定められていないため、条件を提示した規則の公開が待たれていた。

同法では、「カナダ人以外」を「カナダ国民や先住民および永住権保持者以外、カナダ国外での登記法人、カナダの登記法人で非上場企業であってカナダ人以外による経営企業」と定義し、こうした個人や団体を対象として購入を禁じている。ただし、「外国が外交または領事目的のために住宅用不動産を購入する」場合や「移民・難民保護法にいう一時居住者で、所定の条件を満たす者」などは、同法の適用対象外となる。

今回の規則の公布で明らかになった「一時居住者の所定の条件」は、(1)有効な就労許可証を所持しているか、カナダでの就労が許可されている、(2)購入年に先立つ4年間のうち、少なくとも3年間はカナダで正社員勤務をしている、(3)購入年に先立つ4年間のうち、3年間は所得税を申告している、(4)(カナダで)複数住宅を購入したことがない、の全てを満たすことで、この条件を満たしていれば同法の適用対象とはならない。また、就学ビザ保持者も別の諸条件を満たしていれば適用対象外となる。

なお、同法で定義する「住宅用不動産」とは、「3戸以下の建物や半独立住宅、マンションの一室のような建物の一部」で、4戸以上のユニットを持つ不動産の購入は禁止されていない。

また、違反した場合には罰則が設けられており、カナダ人以外、またはカナダ人以外を故意に援助した者で有罪が認められる場合には、1万カナダ・ドル(約97万円、Cドル、1Cドル=約97円)未満の罰金が科せられ、裁判所がカナダ人以外による違反と認めた場合、家の売却を命ずることがあるとしている。

ただし、同法施行による不動産市場への影響についての専門家の見方は懐疑的だ。モントリオール銀行のシニアエコノミスト、ロバート・カブシック氏は「金利や市場心理といった、はるかに大きな要因が不動産活動や価格を左右している現状では、この禁止規則の不動産市場への影響はほとんどないものと思われる。2016年、2017年当時は外国人の買いがより大きな問題だったが、昨今の不動産の動きは、国内の買い手によってあおられたものだ」とコメントしている(「グローブ・アンド・メール」紙12月21日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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