欠陥製品の販売・リースに事業者責任求める法案を閣議承認

(タイ)

バンコク発

2022年12月19日

タイ政府の閣議で11月22日、販売/リースされた特定製品の欠陥について、事業者に責任を課す法案を承認した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同法案は消費者保護委員会が提出したもので、民商法典による既存の法的責任以外の追加的責任を規定する。より明確かつ現状に即したかたちで、製品の欠陥による消費者の権利を保護する目的がある。

同法案で対象となる事業者は、(1)製造業者、(2)輸入業者、(3)当該製品の販売者または貸し手/所有者(製造業者、輸入業者が不明の場合)。権利保護される「消費者」は事業者から製品を購入/リースしている人々となる(商業/事業目的の場合を除く)。

対象製品は、(1)電気製品・電子機器、(2)自動車(私有車)・バイク、(3)その他勅令で定める製品。なお、中古製品の販売/リース、オークションのほか、製品状態が明確に言及された上で販売/リースされた場合は対象とならない。

法案では、製品の通常の減価償却や、製品の通常の使用、説明書などの記載情報に従った使用、リースなどの契約目的に沿った使用にもかかわらず、不適切な製品の欠陥がある場合、事業者の認識の有無を問わず、引き渡し時または引き渡しから2年以内の場合、事業者が責任を負う。納品日から1年以内に欠陥が発見された場合は、納品時点で欠陥があったものと見なす。事業者が欠陥のある製品を設置・組み立てた場合、または事業者が提供する取扱説明書の誤り・不備により消費者が欠陥ある製品を設置・組み立てた場合は、事業者が欠陥について責任を負う。

ただし、(1)消費者が製品の購入時に欠陥があることを認識していた場合、(2)消費者が事業者に無断で製品を改造した場合、(3)消費者が説明書に記載されたとおり、製品を良好な状態に保つための条件や指示を順守していない場合は、事業者の責任とならない。

消費者は、製品に欠陥があった場合には事業者に対して(1)修理を依頼する、(2)製品の交換を求める、(3)値引きを求める、(4)契約をキャンセルするといった行動を取ることができる。これらの権利行使は、製品の欠陥に起因する損害賠償請求には影響しない。また、同法案の規定と異なる欠陥の場合でも、消費者が製品の欠陥を見つける前に行われた消費者に不利益や負担を与える契約は無効となる。

消費者の権利の時効は、欠陥を発見した日、または事業者が消費者の要請を拒否した日から2年間となる(事業者が修理や交換に応じる場合は終了)。欠陥製品に起因する消費者の損害賠償請求権は、他の法令に基づき、引き続き有効となる。また、今回の案は発効前に販売/リースされた製品には適用されない。

同法案は閣議承認後、法制委員会、司法裁判所、国会などで審議された後に施行される。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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