福建省、水素産業発展に向けた行動計画を発表

(中国)

広州発

2023年01月04日

中国・福建省発展改革委員会は12月21日、「福建省水素エネルギー産業発展行動計画(2022~2025年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。2025年までに、水素エネルギー分野の核心技術の水準を全国上位レベルに引き上げ、全国的に影響力を有する企業を20社育成するほか、燃料電池自動車の普及台数を4,000台以上、各種水素ステーションの建設を40カ所以上とするなどを目標に掲げた。

福建省は今後3年間で、水素エネルギーの「製造・貯蔵・輸送・充填(じゅうてん)・応用」のサプライチェーンにおいて、伝統的な発電企業、石油化学企業、石油・ガスの輸送企業などが水素製造、水素使用、水素貯蔵・運輸などの業務を展開することを奨励する。さらに、省内で複数の水素エネルギー産業集積エリアや産業クラスターを構築し、省全体に水素の製造、貯蔵、輸送、供給システムを形成するロードマップを策定した。主な内容は以下のとおり。

  • 水素ガスの製造分野では、福州市、泉州市、漳州市、南平市など地方の工業副産物として生じる水素(以下、副生水素)の貯蔵量と生産能力を十分に利用し、水素ガス精製技術とアンモニアによる水素貯蔵技術を発展させ、副生水素の利用効率を上げる。同時に、風力・太陽光など再生可能エネルギー発電や原子力発電からの水素製造を推進し、グリーン水素の生産能力を向上する。
  • 水素ガスの貯蔵・輸送分野では、高圧ガス、有機液体、固体のそれぞれの状態における水素の貯蔵・輸送技術の発展に注力し、パイプラインによる水素の輸送技術を積極的に研究する。
  • 水素ガスの充填分野では、水素エネルギーのインフラ全体における国産化率を高め、総合エネルギーステーションなど各種水素ステーションの新設や増設を推進する。
  • 水素エネルギーの応用分野では、福州市、アモイ市の国家燃料電池自動車モデル都市群を中心として、重点的に大型トラック、港湾専用車、コールドチェーン物流車、バスなど交通分野への応用を拡大する。また、分散型発電、エネルギー貯蔵、化学工業、鉄鋼・冶金(やきん)、5G(第5世代移動通信システム)基地局などへの応用を模索する。

福建省政府が2022年4月18日に発表した「福建省新エネルギー自動車産業発展計画(2022~2025年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、「発展計画」)によると、同省は水素燃料電池自動車および同分野の核心部品などにおいて一定の技術の蓄積を有する。水素エネルギー関連ビジネスを展開している福建省の地場企業には、厦門金龍汽車、福建雪人、福建亜南電機などがある。また、発展計画によると、同省は10万トンを超える規模の副生水素資源を有していることから、水素エネルギー資源に関しても一定の優位性を持つ。豊富な水素エネルギー資源は、省内で普及を進める水素燃料電池自動車に向けて供給できるだけではなく、将来的には余剰水素を華東地域や国外の東アジア地域など省外へと輸送することで、同省は水素エネルギー供給基地になり得るとしている。

(汪涵芷)

(中国)

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