丸紅が地域冷房事業参画に向けて合弁会社設立へ

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年01月27日

丸紅は1月23日、サウジアラビアにおける地域冷房(注)事業参画に向けて、サウジアラビアの財閥企業アジュラン・ブロス・ホールディング・グループ(アジュラングループ)と、カタールにおいて地域冷房事業を営むユナイテッド・ディストリクト・エナジー・インターナショナル(UDEI)との間で合弁会社の設立に関する契約締結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。丸紅の瀬川憲司リヤド支店長と丸紅中東アフリカ・パワーの穂坂拓馬バイスプレジデントに話を聞いた。

サウジアラビアでは、「ビジョン2030」ならびに2060年までのカーボンニュートラル達成(2021年10月25日記事参照)に向けて、さまざまなプロジェクトの開発が進むとともに、人々の脱炭素・省エネに対する意識が向上しており、今後、地域冷房に対する需要の拡大が見込まれている。

穂坂氏によると、丸紅は、中東地域におけるIPP事業(独立系発電事業)で培った、エネルギー分野におけるインフラプロジェクトの開発・運営に関する知識と経験を生かし、サウジアラビアで初めて地域冷房事業に参画する。一方、アジュラングループはサウジアラビア国内で多様なビジネスを展開し、幅広い現地ネットワークを有している。また、UDEIはカタール最大の地域冷房事業会社、カタール・クールの国際部門を担う子会社で、地域冷房事業に関する最先端の技術と専門知識を海外ビジネスへと展開する予定だ。これら3社の特性を生かし、サウジアラビアにおける地域冷房事業のニーズに応えていく。

写真 インタビューに答える丸紅中東アフリカ・パワーの穂坂氏(左)と丸紅の瀬川氏(右)(ジェトロ撮影)

インタビューに答える丸紅中東アフリカ・パワーの穂坂氏(左)と丸紅の瀬川氏(右)(ジェトロ撮影)

丸紅は、これまで中東において電力や水などのIPP事業へ注力してきたが、「ビジネスの多角化を図るため、2~3年前からIPP事業と親和性のある地域冷房事業に注目してきた」(穂坂氏)。また、丸紅、およびUDEIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、丸紅は2021年3月に気候変動長期ビジョンを策定し、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の1つと位置付けている。今回のサウジアラビアにおける地域冷房事業を通じて、中期経営戦略として掲げる「グリーンビジネスの先駆者」を目指すとともに、サウジアラビアの持続可能な経済の構築に貢献していくとしている。

(注)1カ所、または数カ所の熱供給設備で冷水を製造し、地域導管から一定地域内の建物群に供給し、冷房を行うシステム。

(位田陸)

(サウジアラビア)

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