ボッシュ、日系企業などとモビリティ分野の6Gプロジェクトを共同実施
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年01月10日
ドイツの自動車部品メーカーのボッシュは2022年12月28日、ドイツ教育・研究省から助成を受けた第6世代移動通信システム(6G)関連プロジェクトを同社のウェブサイトで公表した。
プロジェクト名は「6G-ICAS4Mobility」。6Gを活用して、センサーによって認識した外部情報と通信を融合し、次世代モビリティの安全性と効率性を高める。これまで、センサーによる認識と通信はそれぞれ独立していた。センシングと通信の統合はICAS(Integrated Communication and Sensing)と呼ばれ、研究レベルでは数年来、その可能性が議論されてきた。同プロジェクトでは、当該技術の実用化を図る。技術は、自動車走行だけではなく、ドローンなどの飛行体、工場内の無人輸送システムなどにも活用が可能だ。
プロジェクトは既に2022年10月に開始しており、期間は2025年9月までの3年間。プロジェクト予算の総額は1,423万ユーロで、うち、教育・研究省がその7割を助成する。プロジェクトに参加するのは計15社・団体。フラウンホーファー研究所、ウルム大学、カイザースラウテルン工科大学などの大学・研究機関をはじめ、通信・電子部品・防衛技術・人工知能(AI)関連の民間企業などが参加する。日系企業では、デンソーのドイツ拠点もプロジェクトに参画している。同プロジェクトの幹事はボッシュが務める。
ドイツ連邦政府は6G技術を振興している。たとえば、教育・研究省は2021年4月、6G関連プロジェクトに対し、2025年までに総額約7億ユーロ助成すると発表した(2021年4月20日記事参照)。EUも、2021年から2027年までにEU研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」(2021年3月17日記事参照)において約9億ユーロを6G技術助成に充てる。米国、日本、韓国、中国などでも6G関連投資プログラムが実施されており、ボッシュによると、このような各国の大規模な投資は6G技術の地政学的重要性と、技術的独立の重要さを反映したものだという。
(高塚一)
(ドイツ)
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