韓国政府が「第10次電力需給基本計画」を公表、実現可能な電源ミックスに修正

(韓国)

ソウル発

2023年01月16日

韓国産業通商資源部は1月12日、2022年から2036年までの電力需給の基本的な方向性、長期の需給見通し、発電ならびに送配電設備計画、需要管理および分散型電源などの内容を含む「第10次電力需給基本計画」を公表した。

第9次電力需給基本計画では、「脱原発、脱石炭」「再生可能エネルギー中心のエネルギー転換」を基本方針(2021年1月14日記事参照)としていた。一方、第10次電力基本計画では、「実現可能でバランスの取れた電源ミックス」「原発の活用、適正水準の再生可能エネルギー」に修正し、安定供給を最優先に、経済性、環境適応、安全性などを総合的に考慮した。

第10次電力基本計画の最終年度(2036年)時点での電力需要は、今後急速な増加が見込まれる電力需要の影響を反映し、135.6ギガワット(GW)(基準需要)と想定した(注)。電源別の設備容量は、原子力、液化天然ガス(LNG)および再生可能エネルギーが拡大し、石炭火力は減少する(添付資料表参照)。原子力については、既存の原発の継続運転と新ハヌル原発3・4号機の竣工(しゅんこう)を反映した。再生可能エネルギーについては、太陽光発電中心から、太陽光発電と風力発電のバランスの取れた電源ミックスに修正した(2022年7月7日記事参照)。

さらに、太陽光発電などの出力変動への対応のため、26.3GWのバックアップ電源を確保する費用として29兆~45兆ウォン(約3兆160億円~4兆6,800億円、1ウォン=約0.104円)の設備投資が必要との見通しを示した。温室効果ガス削減については、NDC(Nationally Determined Commitment:国が決定する貢献)で定めたエネルギー転換部門の排出目標である1億4,990万トンを達成できる見通し。

(注)第10次電力需給基本計画では、需要管理による電力および電力量の削減を強化し、2036年時点で需要管理による最大電力を17.7GW、電力量で105.7テラワット時(TWh)の削減に取り組むことで、基準需要から需要管理分を除いた2036年の目標需要は118.0GWとなる見通し。

(当間正明)

(韓国)

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