投資企業管理局、名目取締役の任命と名目株主の登録を認めずとの指令発表

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2023年02月02日

ミャンマー投資企業管理局(DICA)は名目取締役と名目株主に関する指令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(第7号/2023)を1月18日に発表し、同日施行した。指令では、名目取締役の任命と名目株主の登録を認めないとしている。同指令の概要は以下のとおり。

  1. ミャンマー会社法第 18 条は取締役の権利と責任を規定しており、会社の業務を指揮管理する者を取締役と定義している。また、同法に基づいて代理取締役を選任することを認めているが、法との整合性を欠く名目取締役の任命は一切認められない。
  2. ミャンマー会社法では、会社の株式を保有する者はDICAに申請登録し、会社でも株主名簿に登録することを規定している。
  3. 一部の国では名目株主の登録を認めた上で、会社の所有者を開示する制度を実施している。
  4. ミャンマーではこのような名目株主の登録を認めておらず、DICAに登録され、会社の株主名簿に記載されている個人/法人のみを株主と見なしている。ミャンマー会社法第421条により、誰でも所定の手数料で会社の所有者情報にアクセスすることができる(注1)。
  5. この指令は発表日から施行する。

今回の指令についてDICA幹部は、ミャンマーがFATF(金融活動作業部会、注2)のポリシーを順守した対応の一環と語っている。一方、ミャンマーは2022年10月、FATFのブラックリストに追加されている(2022年10月27日記事参照)。また、別の幹部は「会社法は、実際は外国会社や外国人が出資するが、名目上はミャンマー人やミャンマー会社の名義を使用して事業をする「外資規制逃れ」を認めていない。今回の指令は、こうした外資規制逃れにつながる名目取締役や名目株主は認めないことを明確化した内容」とコメントしている。

(注1)他社の情報を有料で見るサービスは現在停止中。

(注2)マネーロンダリング・テロ資金供与対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う多国間の枠組み。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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