ブリンケン米国務長官がイスラエルを訪問、ネタニヤフ首相らと会談
(イスラエル、米国、イラン)
テルアビブ発
2023年02月06日
米国のアントニー・ブリンケン国務長官が1月29~31日、エジプト、イスラエルと、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸を訪問した。イスラエルには、エジプトに続いて1月30~31日に滞在し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相をはじめとする政府要人らと会談を行った。
直前の1月26日には、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のジェニンで、イスラエル軍による急襲作戦によりパレスチナ人9人が死亡し、それに報復するかたちで翌27日に東エルサレムのユダヤ教礼拝所で銃撃事件が発生、7人が死亡するなど、イスラエル・パレスチナ間での緊張が高まっている。
今回の歴訪は、イスラエル史上最も右寄りといわれる新内閣(2023年1月12日記事参照)の司法改革によるイスラエル国内の混乱やイランの核問題について協議することが主な目的だったが、直前の出来事により、パレスチナ問題も重要なテーマになった、とイスラエル現地紙は報じている。
1月30日に行われたネタニヤフ首相との会談では、両国が協調してイランの核開発抑止に向けた対応を進めることや、国防分野における協力を深化していくことを確認した。
ブリンケン国務長官は会談後の記者会見において、イスラエルとパレスチナの暴力の応酬で死者が相次いだ事件に関して、緊張の緩和を促した。
また、同日に行われたアイザック・ヘルツォーク大統領との会談では、ブリンケン国務長官から、司法改革の問題でより良い議論の在り方について国会へ働きかけを続けるヘルツォーク大統領の姿勢をたたえるコメントもあった。
足元では、新内閣の司法改革による民主主義の衰退を懸念して、一部のハイテク企業がイスラエルから拠点を移したり、資金の引き揚げを行ったりするなど、内外政の混迷が経済に与える影響も指摘されている(「タイムズ・オブ・イスラエル」1月18日)。米国の介在によってこの状況がどう変わっていくのか、今後の動きが注目される。
(太田敏正)
(イスラエル、米国、イラン)
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