インドの2022年のスタートアップは23社、資金調達額は減少傾向に

(インド)

ベンガルール発

2023年03月29日

インド・ベンチャー・キャピタル協会(IVCA)とベイン・アンド・カンパニーが発表したインド・ベンチャー・キャピタル・レポート2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年に新たに追加されたインドのユニコーンは23社と中国の11社を上回り、総数96社となった。しかし、この数字は44社のユニコーンが新たに誕生した2021年からは約半減しており、マクロ経済の不確実性の増大と景気後退の懸念が、インドにおけるベンチャーキャピタル(VC)投資の再調整につながったようだ。

スタートアップの取引額についても、2021~2022年は特に景気後退が強まった2022年後半にかけて385億ドルから257億ドルへ33%減少した。取引額の内訳をみると、SaaS(Software as a Service、注1)およびフィンテックは、資金調達総額の約25%から約35%と大きく増加したものの、コンシューマー・テックは、2021年の200億ドル強から2022年には100億ドル未満へと55%減少した。

一方、資金調達の減少にもかかわらず、アーリーステージ(注2)では引き続き勢いがみられ、2022年のVC案件数は1,611件となり、2021年の1,545件からわずかに増加した。

また、資金調達に関しては、ベンガルール、ムンバイ、デリー首都圏以外の新興ハブに全体の約18%の資金が集まり、2022年に新たに追加されたユニコーン23社のうち9社も、これら大都市以外の都市から誕生した。

ベイン・アンド・カンパニーは2022年の資金調達額の減少に関して、「VCがユニット単位での事業の経済性を測定・管理するようになり、新興企業は複数の規制上の課題、レイオフ、コーポレートガバナンスの問題が表面化するなど、困難な年に直面した」と講評した。また、今後もマクロ的な逆風がインドのエコシステムに影響を及ぼすことが予想されるものの、堅実なマクロ基盤、大きな消費市場、豊富な労働力、デジタル化された社会、イノベーションの進化など要因により、「2023年には、インドでより強靭(きょうじん)なエコシステムが出現する可能性がある」と展望を語った。

(注1)クラウドサービスとして提供されるソフトウエアを指す。

(注2)スタートアップにおける成長ステージの区分のうち、起業前後の段階を指す。

(大野真奈)

(インド)

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