中国車載電池用部材メーカー、インドネシアに相次いで投資

(中国、インドネシア)

上海発

2023年03月03日

中国の新エネルギー車用電池向け部材メーカーによるインドネシアへの投資が相次いでいる。

深セン証券取引所上場企業である銅管大手、浙江海亮は3月1日、子会社の香港海亮と共同でインドネシアにリチウムイオン電池(LIB)用電解銅箔(どうはく)の工場を新設すると発表した。投資総額は59億元(約1,150億5,000万円、1元=約19.5円)で、電解銅箔の生産能力は年間10万トンに達する見通し。工期は2期に分かれ、第1期は2025年、第2期は2027年までの完成を計画している。

同社は、インドネシアに進出する背景および目的について、(1)国際市場において需要が高い銅箔などの新エネルギー分野で欧米や東南アジアでの市場シェアを高めること、(2)中国国内での過剰な競争を避け、国際貿易上の障壁によるリスクを軽減させ、関税や物流コストの低減、国際競争力の向上につながること、(3)中国LIBメーカーの海外進出によって、海外市場開拓のチャンスを獲得し、現地の顧客満足度を高めること、などを挙げた。

深セン証券取引所上場の南京寒鋭钴業(コバルト業)は2月10日、インドネシアに三元系LIB用ニッケルを年間6万トン生産するプロジェクトを公表した。プロジェクトの総投資額は最大13億8,000万ドルで、傘下にある香港の子会社が70%出資する。そのほか、上海証券取引所上場の江蘇竜蟠科技は2月25日、インドネシアに約2億9,000万ドルを投じ、新エネルギー車・電力貯蔵用電池向けの正極材製造工場を建設すると発表した。

新エネルギー車用電池の需要拡大に対応するため、中国企業は国内でも急速に設備の増強を進めている。中国工業情報化部によると、2022年に発表されたリチウムイオン電池セル関連の生産プロジェクトは40件余りに上った。生産能力は合計1,200GWh(ギガワット時)で、総投資額は4,300億元に達している。また、LIBの2022年輸出額は前年比86.7%増の3,426億5,000万元と海外への輸出も急拡大しており、新エネルギーの効率的な開発や活用、ならびに世界経済における低炭素化に向けた取り組みに対し積極的な貢献を図っていることを示した。

(劉元森)

(中国、インドネシア)

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