トヨタ、バイオエタノールも利用可能なハイブリッド車の生産投資を発表

(ブラジル、日本)

サンパウロ発

2023年04月27日

トヨタ・ド・ブラジルはサンパウロ州ソロカバ市の同社工場で約17億レアル(約449億5,000万円、1レアル=約26.4円)を投資して、バイオエタノールも利用可能なフレックス車(注1)にハイブリッドシステムを搭載した新型車を生産すると発表した。

4月19日付のプレスリリースで発表した今回の生産投資は、2022年サンパウロ州政令66.610号による「グリーン自動車促進プログラム」を活用するもので、700人の雇用創出を見込んでいる。新たに生産する車種は2種類となる。その投資額の内訳は、新型コンパクトカー生産に16億3,000万レアル、既存モデルのアップデートに6,180万レアルで、新型コンパクトカーは中南米22カ国への輸出を見込む。

19日付のサンパウロ州政府公式サイトによると、トヨタ・ド・ブラジルのラファエル・チャン社長は「ブラジル市場を信じ、テクノロジーやイノベーションに投資することで消費者の求めに応じていく。持続可能な解決策で雇用を生み、経済を発展させていく。われわれはハイブリッド・フレックス技術と、よりクリーンで効率的な技術で、モビリティーを探求していくパイオニアだ」と説明している。

今回、トヨタ・ド・ブラジルが活用したサンパウロ州の「グリーン自動車促進プログラム」は2022年3月30日に発表されたもので、環境に配慮した自動車を普及させることを目的としている。自動車関連企業が同趣旨に沿った投資を行う場合、蓄積している商品流通サービス税(ICMS、州税)の累積額を条件付きで同投資資金に活用できる。トヨタ・ド・ブラジルによると、今回の投資案件は同プログラムを活用したものの中で最大規模の投資額になるという。

ICMSについては、企業が輸出入を伴う生産過程や税率が異なる他州へ販売する過程で累積するケースがある。ブラジル日本商工会議所の「課税に関するアンケート調査(2017年6月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、還付・相殺すべき税務クレジットを抱えている日本企業は複数業種で問題となっており、ICMSの累積はサンパウロ州でビジネスを展開する上でのビジネス上の課題となっている(注2)。

19日付の同州政府公式サイトによると、同プログラムについて、州政府のサムエル・キノシタ財務・企画局長は「二酸化炭素の排出を抑えることに加え、新たなテクノロジーを通じて雇用を生み、サンパウロ州の人々の収入増にもつながる」としつつ、「州政府が持続可能なプロジェクトを支持していることを示し、工業製品の輸出にも極めて重要な役割を担うものだ」と総括している。

(注1)ガソリンとバイオエタノールとの組み合わせで走行できる車。

(注2)サンパウロ州のビジネスで税務クレジットが累積しない仕組みが導入されるべきとの意見もある。

(古木勇生)

(ブラジル、日本)

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