ベルリンで現地系レストランやバー向けに東北日本酒試飲会を開催

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年04月10日

ジェトロは20231月から3月にかけて、ドイツ・ベルリンを中心とする現地系レストランやバー向けに日本酒の試飲会とセミナーを合計4回開催した。

まず123日、ベルリン有数の酒インポーターSAKE36の店舗で、東北6県の酒の試飲会を2回、223日には前年に115周年を迎えた欧州最大規模の百貨店KaDeWe(カーデーべー)のワインバー「W-Bar」で1回、合計3回のイベントを開催した。3回目には柳秀直・駐ドイツ日本大使も参加し、ドイツでの日本酒の普及可能性について述べた。

試飲会では、SAKE36のオーナー兼酒ソムリエでもあるマキシミリアン・フリッチュ(Maximilian Fritzsch)氏による解説を受け、東北620蔵元の20銘柄の酒を提供した。会場にはベルリンを中心にしたレストランやバー関係者、ワイン専門家、現地メディア、インフルエンサーなどが集まり、オーストリア・ウィ-ン、ドイツ・ミュンヘンからも来て、計3回のイベントに約80人が参加した。試飲会では、各銘柄についての味の評価や、一般的な酒に対するアンケートを実施し、好きな日本酒の特徴として最も人気だったのが「辛口」、次に「うま味」「フルーティーさ」となった。ドイツで人気になる日本酒はやはり「辛口」がキーワードになっている印象だった。また、「香り」を重視する声も聞かれた。

酒ソムリエでもあるフリッチュ氏は、「ゲストからのフィードバックは、全体的に評価が高いものだった。既にゲストからは、次回の開催の要望もある。参加ゲストは全員ベルリンのトップクラスのレストランやバー関係者で、お酒の評価のみではなく、価格設定、購入意向、またはラベルデザインに関する貴重な意見が得られた」と語った。

写真 SAKE36での試飲会(ジェトロ撮影)

SAKE36での試飲会(ジェトロ撮影)

327日にはベルリンのミシュラン一つ星レストラン「Irma la douce」(イルマ・ラ・ドゥース)でイタリア・ミラノ在住の酒サムライ(注)のマルコ・マッサロット(Marco Massarotto)氏を講師に、ドイツのメディア関係者など約30人に対して、未だ知られていない日本酒自体の特性や創り方などを解説しながら、東北日本酒20銘柄の試飲会を実施した。ミラノ万博でも活躍したマッサロット氏は東北の食文化について書籍を執筆した実績もあり、ペアリングとしてベルリン名物のカレーソーセージやサーモン、チーズなどのおつまみを提供し、各銘柄がどのドイツ料理と合うかなどを説明した。参加者の中にはインスタグラムなどのSNSで速報する様子も見られた。

写真 和爾俊樹ジェトロ・ベルリン所長が東北の復興を紹介(🄫Riedel PR)

和爾俊樹ジェトロ・ベルリン所長が東北の復興を紹介(🄫Riedel PR)

写真 マルコ・マッサロット氏が日本酒の魅力を解説(🄫Riedel PR)

マルコ・マッサロット氏が日本酒の魅力を解説(🄫Riedel PR)

なお、本事業では、東北各地域や参加酒蔵(Japan Streetに登録)の銘柄を紹介するカタログを、インバウンド誘致を目的とした日本政府観光局(JNTO)の東北ガイドブックと共に配布。来場者の東北に対する関心の高まりを確認できた。

(注)「酒サムライ」の称号は、全国の若手蔵元で組織する日本酒造青年協議会が叙任している。日本酒文化を日本国内のみならず、広く世界に伝えていくために、日本酒を愛し育てるという志を同じくする者を叙任している。

(小菅宏幸、小飼志保、佐藤由美子)

(ドイツ、日本)

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