議会選で与党・社民党が第3党に転落、中道右派が第1党に

(フィンランド)

ロンドン発

2023年04月04日

フィンランドで4月2日、国会議員選挙(一院制、定数200、比例代表制)が行われ、中道右派の野党・国民連合党が前回(2019年4月16日記事参照)から10議席増の48議席を獲得して第1党となった(投票率71.9%、添付資料表参照)。第2党は前回から7議席増の46議席を獲得した極右のフィン人党。現与党で中道左派の社会民主党は3議席増の43議席を獲得したものの、第3党に転落した。一方、前回から大きく議席を減らしたのは中央党や緑の党、左派連合で、それぞれ8議席、7議席、5議席減となった。これら3党は現在連立政権を構成しているものの、各党首は、今回の選挙結果を踏まえると次期政権への参加は難しいとしている(「yle」4月3日)。

第1党となった国民連合党の党首ペッテリ・オルポ氏が次期首相と目されているものの、連立協議は難航するとみられている。社会民主党かフィン人党のいずれかとの連立が報じられているものの、社会民主党とは財政面、フィン人党とは対EU政策と移民政策、気候政策の面で課題が生じるとされている。国民連合党は今回の選挙で、経済成長と雇用政策、歳出削減を通じた財政健全化を主張しているほか、再生可能エネルギーへの投資や原子力発電所の増設など、クリーンかつ安価で安定したエネルギー供給に向けて取り組むとしていた。また、EUに加えて、NATOについても重要なパートナーと位置づけ、加盟が実現した際には積極的に参画するとしている。4月14日にも、オルポ氏を中心に組閣に向けた交渉が開始される予定と報じられている(「yle」4月3日)。

一方、敗北はしたものの、サンナ・マリン首相への支持は引き続き厚く、個人では3万5,623票を獲得し、フィン人党のリイッカ・プッラ党首(4万2,589票)に次いで全国第2位の得票数となった。ブルームバーグ(4月3日)は、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻とそれに伴うエネルギー価格上昇への対応による財政支出の拡大が党としての敗北につながったものの、マリン氏のそうした危機への対応やNATO加盟に向けた取り組みなどは評価されたと報じた。

(半井麻美、山田恭之)

(フィンランド)

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