米アリゾナ州フェニックス大都市圏の魅力を聞く、半導体とEVの大規模投資を誘致

(米国)

米州課

2023年04月03日

ジェトロは315日、近年、半導体産業で注目を集める、米国アリゾナ州のフェニックス大都市圏に関して、同大都市圏経済協議会(GPEC)のショーン・フォガティ国際ビジネス開発担当バイスプレジデントからその魅力を聞いた。

フェニックス大都市圏は、アリゾナ州のGDP75.3%を占め、域内のマリコパ郡は20102020年の人口増加率で全米最大を記録する成長著しい地域だ。公立大学の中で留学生数最多のアリゾナ州立大学と、全米最大のコミュニティカレッジであるマリコパコミュニティカレッジが若い労働力の供給源となっており、地域経済を支えている。フォガティ氏は豊富な労働力だけでなく、所得税(税率:2.5%)と法人税(4.9%)が低いことによるビジネス環境の良さを強調する。従業員数や賃金などに関する一定の要件を満たせば、法人税について従業員1人当たり9,000ドルの税額控除を受けることができるという。

フェニックス大都市圏では、半導体製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)とインテルが大規模な投資を進めている(2022年12月8日記事参照)。インテルはこの地域で40年前から半導体チップを生産しており、フォガティ氏によると、古くから形成されてきた半導体エコシステムがTSMCの投資を呼び込む大きな要因となった。TSMC4,500人、インテルは3,000人の施設従業員を雇用すると発表しており、関連会社の進出も加速しているため、労働力の獲得競争は激化しそうだが、半導体産業に精通した地元人材が地域の競争力をさらに高める存在となりそうだ。

写真 建設工事が進むTSMCアリゾナ工場(ジェトロ撮影)

建設工事が進むTSMCアリゾナ工場(ジェトロ撮影)

また、GPECは電動自動車(EV)関連の投資誘致にも力を入れているという(2018年5月29日付地域・分析レポート参照)。二コラは2018年1月に本社をユタ州からアリゾナ州に移転し、2023年4月までにはカリフォルニア州からバッテリーの生産を移管し終えると発表している。LGエナジーソリューション(LGES)は3月24日に、総額55億ドルに上る州内バッテリー生産工場への投資を発表した(2023年3月27日記事参照)。ルーシッドはフェニックス大都市圏南部のカサ・グランデで車両を生産中だ。米国内で最もEVシフトが進むカリフォルニア州に隣接する利点を生かし、アリゾナ州およびフェニックス大都市圏はEVの生産拠点化を図っている。

アリゾナ州フェニックス大都市圏は、大規模な投資が進む半導体およびEV産業を中心として、地域経済の活性化を成功させているようだ。

(片岡一生)

(米国)

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