投資インセンティブの適用条件を変更、ヒートポンプなどの製造を優遇

(チェコ)

プラハ発

2023年04月06日

チェコで投資インセンティブ法の適用に関する政令の改正が4月5日、官報に掲載された。

政令は、特定の品目の生産を「戦略的投資」(注1)とみなし、製造業に対する投資インセンティブの条件を満たせば、固定資産取得費用の10~20%を補助金として支給して優遇している。今回の政令改正により、政府は、対象品目にエネルギー効率の改善や省エネに寄与する製品を追加し、ヒートポンプ、太陽光発電装置、原子炉、風力タービン、水電解装置、電気自動車(EV)用モーター、EV用充電ステーション・燃料電池車用充填(じゅうてん)ステーションなども優遇対象とした。

一方で、今回の改正では、製造業に対する投資インセンティブの適用基準の1つである付加価値条件(注2)が引き上げられた。具体的な変更事項は以下のとおり。

  • 研究機関との提携に費やす費用の最低額を投資総額の1%から2%に引き上げ
  • 研究開発担当者数の全従業員数に占める割合を2%から3%に引き上げ
  • 投資対象地域の平均賃金を支給する従業員の割合を80%から100%に引き上げ
  • 付加価値条件が適用される地域について、失業率が7.5%以上かつ全国平均を50%以上上回る県を除いて全域に拡大(産業連盟によると、現時点で適用対象外となる県はカルビナー県。同県を除く全域が付加価値条件の適用地域)
  • ただし、戦略的投資(ハイテクを用いる製造部門を除く)は付加価値条件が適用されない

政令は、4月20日から施行される。

(注1)戦略的投資は、本来は大型投資に対して適用され、通常の投資インセンティブ適用条件よりも厳格な条件〔投資額2億コルナ(約12億3,000万円、1コルナ=約6.15円)以上、従業員数250人以上など〕を満たすことにより、法人税免除など通常の優遇措置に加えて、固定資産取得費用(上限15億コルナ)のうち、最大10%または20%(投資対象地域による)相当額が補助金として支給される。ただし、政令が指定する特定の品目の生産に関しては、例外的に通常の投資インセンティブ適用条件を満たすのみで、戦略的投資の優遇を受けることができる。

(注2)付加価値の高い製造業の投資奨励のために設けられたインセンティブ適用条件。従業員の賃金、指定の研究開発機関との提携、研究開発担当者数など、いずれかの条件を満たすことが求められる(2019年9月5日記事参照)。

(中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 b65f49b32027f02a