米商務省と財務省、輸出管理と制裁違反でマイクロソフトに330万ドル超の罰金

(米国、ロシア、ウクライナ、キューバ、イラン、シリア)

ニューヨーク発

2023年04月07日

米国の商務省産業安全保障局(BIS)と財務省外国資産管理局(OFAC)は4月6日、輸出管理規則(EAR)と、対キューバ、イラン、シリア、ロシア制裁への違反について、マイクロソフトと和解したと公表した(BIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます/OFAC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。マイクロソフトには、合計で330万ドル超の罰金が科された。

BISはマイクロソフトのEAR違反について、2016~2017年に同社ロシア法人がEARのエンティティー・リスト(注1)に掲載されているロシア企業2社と、EAR対象となるソフトウエアのライセンス契約を締結したことなど、7つの違反事由を挙げている。OFACが所管する制裁に関する違反については、2012~2019年に包括的な制裁対象となっている外国行政区や特別指定国民(SDN、注2)などへサービス、ソフトウエアを輸出したことを中心に、1,339件の違反事由が挙げている。マイクロソフトはいずれの違反についても、自発的に開示して両当局の捜査に協力したほか、改善措置を講じたとして、罰則は軽減された。罰金の内訳はEAR違反が約35万ドル、OFAC制裁違反が約298万ドルとなっている。

BISを所管するマシュー・アクセルロッド商務次官補は、米国企業は国外の子会社の行動にも責任を負うと指摘した上で、「今回の連携が示すように、BISとOFACは世界のどこであろうと、米国の輸出管理と制裁法令が効果的に執行されるよう協力していく」と強調した。OFACのアンドレア・ガキ局長は「今回の件は、テクノロジー企業が国外の子会社、ディストリビューター、再販業者を利用した際に直面し得るリスクと、効果的な管理を維持することの重要性を明確にした」と述べている。マイクロソフトによる違反行為は2012~2019年に発生した事案で、ロシアのウクライナ侵攻を受けて米国が対ロ制裁を強化する前の動きとなる。一方、BISとOFACは司法省と合同で、3月初めに対ロ制裁の迂回(うかい)、輸出管理の順守に関する勧告を出しており、今後もロシア関連の取引は特に厳しく見ていくものと考えられる(2023年3月8日記事参照)。また、BISは2月末、国務省と共同で、米国の3Dプリント企業に対して輸出管理法令違反で罰金を科しており、短期間で罰則を伴う違反事例の追及が続いている(2023年3月1日記事参照)。

(注1)米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。

(注2)在米資産の凍結と、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。米国人には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人が含まれる。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ、キューバ、イラン、シリア)

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