EUの2022年の労務費、加盟国間の格差が鮮明に

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2023年04月10日

EU統計局(ユーロスタット)は3月30日、EU加盟国の2022年の時間当たり労務費(社会保障などを含む推計値、注)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、添付資料表参照)。EU27カ国の平均労務費は30.5ユーロ(前年比5.2%増)、ユーロ圏では34.3ユーロ(前年比4.6%増)だった。

加盟国別で大きな差がみられた。労務費が最も高かった国はルクセンブルク(50.7ユーロ)で、デンマーク(46.8ユーロ)、ベルギー(43.5ユーロ)が続いた。最も低かった国はブルガリア(8.2ユーロ)、ルーマニア(9.5ユーロ)、ハンガリー(10.7ユーロ)となった。

労務費に占める給与・賃金以外の費用(社会保障給付などの間接労務費)の割合は、EU27カ国で24.8%、ユーロ圏で25.5%だった。間接労務費の割合が最も低かったのはリトアニア(5.4%)とルーマニア(5.3%)、最も高かったのはフランス(32.0%)、スウェーデン(31.9%)、イタリア(27.8%)だった。

ユーロスタットは、新型コロナウイルス感染拡大による企業や従業員への影響を緩和するために各加盟国が2020年、2021年に導入した支援制度は、短期労働や一時帰休対象者向けの補助金として間接労務費を抑える要因となっていたが、2022年には多くの国で支援制度を終了したことにより、時間当たりの労務費の上昇につながったと分析した。

(注)集計対象は農業・公的機関を除いた全業種平均の労務費のデータで、従業員10人以上の企業・団体。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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