G7気候・エネルギー・環境相会合、札幌で開催

(日本、世界)

国際経済課

2023年04月18日

日本が2023年の議長国を務めるG7で、最初の対面での閣僚級会合となるG7気候・エネルギー・環境相会合が4月15~16日に札幌で開催された。G7メンバー国・地域の関係閣僚や、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)などの招待機関、G20の2023年議長国インド、ASEAN議長国インドネシア、同条約第28回締約国会議(COP28)議長国アラブ首長国連邦(UAE)も招待国として参加した。

16日に採択された共同声明(原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)/仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))では、気候変動の影響が加速し、より激しさを増していることに強い懸念を表明。具体的な削減目標について、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した内容に照らし、世界全体の温室効果ガス(GHG)削減では2030年までに2019年比で43%、2035年に同60%が必要とした。化石燃料については、排出削減対策が講じられていないものについて、フェーズアウトを加速させることを強調した。

プラスチック汚染問題では、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を持ち、プラスチック汚染を終わらせることを約束。政府間委員会にG7メンバーが積極的かつ建設的に参加し、2024年末までに法的拘束力のある国際的な条約の完成を目指すとした。これは、2019年6月のG20大阪サミットで提言された大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの10年前倒しの目標となる。

自動車については、2035年までにG7の保有車両からの二酸化炭素(CO2)排出を2000年比で少なくとも共同で50%削減する可能性に向け、ZEV(ゼロエミッション車)や充電インフラ、持続可能なカーボンニュートラル燃料の普及だけでなく、G7メンバーの取り組みや排出削減の進捗を年単位で追跡する重要性を確認した。

再生可能エネルギー問題では、洋上風力・太陽光について発電目標の増加、それらを含む再生可能エネルギー技術の発達、新技術の開発・実装の推進を確認。安全かつ持続可能で強靭(きょうじん)なサプライチェーンを整備することが盛り込まれた。原子力については、原子力利用国は原子力エネルギーが化石燃料への依存を減らす手頃な価格の低炭素エネルギーを供給し、世界のエネルギー安全保障を支える潜在性を認識するとした。

重要鉱物について、クリーンエネルギー移行と経済安全保障の両立に向け、重要鉱物の開かれたマーケットベース取引の支持、市場歪曲(わいきょく)的措置への反対を再確認し、G7メンバーが協調して取り組む「重要鉱物セキュリティのための5ポイントプランPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に合意。

環境・気候や人権を考慮した持続可能なバリューチェーンへの移行については、安全保障、持続可能性、多様性、透明性、トレーサビリティーが重要で、これに向けた情報開示などの企業の取り組みの重要性を共有した。

(板谷幸歩)

(日本、世界)

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